2021年06月21日(最終更新:2023年06月14日)
不動産投資では、家賃と物件価格から算出される「表面利回り」だけで投資判断するのではなく、諸経費を考慮した「実質利回り」で判断することが重要です。そして、不動産投資における諸経費の中でも、特に見落としてはいけないのが「管理費」です。
この管理費を軽視してしまうと、実はあまり収益性が良くなかったということにもなりかねません。
不動産投資において、毎月かかる管理費には、不動産管理会社に支払う「管理委託手数料」と管理組合に支払う「管理費」があります。前者は、不動産投資を安定的に運営していくための費用といえ、共有部分の管理や入居者の募集、クレーム対応、家賃滞納時の対応など多岐にわたります。
管理委託をする場合、一般的には、家賃に対して一定の割合で管理委託費を支払うこととなり、家賃が高ければ高いほど手数料も高額になります。したがって、管理委託費を考慮して、家賃収入を捉えることが重要です。
「管理費」は、一般的に共用部分の電気代、水道代、清掃費用など、日常的なメンテナンス費用が該当します。一般的には、「共益費」として毎月入居者から集めることでその一部に充当することになります。
それでは実際、管理費はどの程度でしょうか?
東日本レインズによると、2020年度に同機構を通して成約した首都圏中古マンションの月額管理費は1㎡当たりの平均で 191円、東京都では221円、23区の場合は、234円でした。なお、ここでいう管理費は、後者の「管理費」を指しており、本データは、分譲マンションを指しているため、投資用マンションとは若干異なる点に注意が必要です。あくまでも、管理費の目安として、データをみていきましょう。
引用:東日本レインズ「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2020年度)」より作成
規模別に見ると、50戸未満のコンパクトマンションでは管理費が高くなっていますが、それ以上の戸数に関しては、規模のメリットが働くので管理費は下がっています。しかし、200戸以上の大規模マンションとなると設備が充実している傾向があるため、その分管理費も高くなっているようです。
次に築年別で見ていきましょう。
築年別では、築10年以内が最も高く、経年化するにつれて低下傾向にあることが分かります。築年をもっと細かくみていきましょう。
下のグラフは、建築年別で月額管理費とその年の分譲マンション平均価格を比較したものです。管理費は、築年数が浅いほど高くなる傾向にあるのがこちらからも分かります。ただ、1990年前後で山になっているようです。つまり、バブル期に建てられた新築マンションでは、管理費が高くなっています。それはなぜでしょうか?
引用:㈱不動産経済研究所「首都圏・近畿圏マンション・建売市場動向」首都圏レインズ資料より作成
新築時のマンション価格と管理費の数値の相関係数をとると、0.83と高くなっています。一般的に、建物価格が高い物件は共用施設やサービスが充実しているケースが多いため、管理費も高くなる傾向にあるようです。バブル期の物件は新築価格が高かいこともあり、築30年前後とはいえ、管理費が高くなってしまっていることが一因かもしれません。
収益不動産ONLINE編集部
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