2021年02月22日(最終更新:2023年06月14日)
総務省統計局が住民基本台帳に基づいてまとめた、「外国人も含む東京23区の人口の動き」は、昨年1年間で転入が転出を1万3,034人上回る「転入超過」となりました。
しかし、東京23区における転入超過は2019年が7万7,210人でしたので、2020年は増加数が8割以上減少したことになります。
東京23区では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年7月から6か月連続で転出超過となっており、東京一極集中の波に待ったがかかった状況です。これが一時的なものなのか、しばらく続くものなのか、注視したいところです。
まず、長期推移をみてみましょう。
上図は、転入者数と転入超過数(日本人移動者のみ)の推移です。転入者数は、ここ四半世紀のあいだ、35万人前後で推移しており、冒頭でお伝えした通り2020年はコロナウイルスの影響で転入超過数が前の年よりは大幅に減りましたが、転入者自体はそこまで大きな減少ではなさそうです。
一方の2020年の転入超過数はリーマンショック時を更に下回り、転入超過に戻った1997年と翌年1998年に次、3番目に少ない数となりました。
東京23区への転入者数から見ていきましょう。
2020年に入り、1月2月はほぼ前年と同水準でしたが、3月は前年比で大きく伸びました。2020年3月というと、緊急事態宣言は出ていないものの、全国の学校が一斉休校となるなど、コロナウイルスの脅威が拡大している時期でしたが、この月の転入者数は、86,137人で前年比6%増でした。
その後、4月以降は、前年比でマイナスが続きます。中でも5月は前年比マイナス35.5%と大きく減少しました。6月は回復するも、それ以降は前年比マイナス10%前後とどの月でも転入者数の減少が目立ちました。
それでは、東京23区を出る人の数はどうでしょうか?
転入者と同じく、転出者数も3月は前年を上回り、4月も2019年と同水準でした。3月4月は事情があり移動しなくてはならない人々の「かけこみ」転入・転出があったものの、5月は人の移動自体が一度落ち着きを見せました。
一方、6月以降は、テレワークが広がり、出社頻度が減った人などによる前向きな移住に加えて、「収入が減った」や「仕事を失った」などネガティブな要因での移住が増えてきたと予想でき、転出者が前の年の1割から2割で増加しています。
最後に転入超過数を見ていきましょう。3月は前の年と同水準でしたが、4月以降は転入超過数が大幅に減少。5月は、外国人の集計も加わった2013年4月以来初めての転出超過となりました。6月には転入超過に回復するも、その後も転出超過は続き、12月は月間の転出超過数が2013年4月以降で最も多い6,211人となりました。
東京都からの転出者半数以上が神奈川、千葉、埼玉の隣接県へ
最後は、東京からどこに移動したのかを示すデータです。※東京都のデータになります。
2020年の東京都からの転出先は、神奈川県が最多の9万1,669人、次いで埼玉県で7万4,659人、千葉県5万6,186人と、この3県で半数を占めました。新型コロナウイルス感染拡大のためテレワークの導入が進み、都心から通勤圏内の郊外へ移り住む流れが進んでいるようです。
確かに、東京23区からの転出者数が増え、転入超過の数は大幅に減りました。しかし、それでも転入者数は、長期的に捉えるとそれほど大きく減少はしていません。今後も人口の移動については、注意深くみていく必要がありそうです。
収益不動産ONLINE編集部
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