2021年04月28日(最終更新:2023年06月14日)
不動産価格指数は、全国の住宅(住宅地、戸建住宅及びマンション(区分所有)) に関して、国土交通省が実施する「不動産の取引価格情報提供制度」により蓄積されたデータを活用し、「個別物件の品質」をヘドニック法により調整したうえで、算出・推計した指数です。
住宅は、その立地や設備、規格、築年数などの属性が住宅毎に異なります。また、住宅の「品質」も日々進化しており、住宅取引も恒常的におこるものではありません。
つまり、住宅用不動産は、非常に個別性の強い市場となっています。そのため、取引価格の価値を推移として把握するためには、住宅の価格変動を、属性の変化によるものと「純粋な価格変動」とに分解する必要があり、このように「品質を調整した」価格指数を作成する方法のひとつがヘドニック法です。
それでは、一棟不動産の価格推移をみていきましょう。
(国土交通省「不動産価格指数(商業用不動産)」より作成)
バブル期に、大きく上昇した一棟不動産ですが、その後下落し、2007年頃ミニバブルで上昇しましたが、リーマンショックで下落。その後は上昇が続いていましたが、2018年頃から上昇が鈍化しており横ばい状態が続いているようです。
ちなみに、区分マンション不動産価格指数をみていきます。
(国土交通省「不動産価格指数(住宅)」より作成)
「不動産価格指数(住宅)」は月別で集計されています。2013年から一気に上昇局面に入りコロナショックで一時下落しましたが、今もなお上昇が続いているようです。
最後に、地価公示との関係を見ていきましょう。
(国土交通省「地価公示」、「不動産価格指数(商業用不動産)」より作成)
地価公示と不動産価格指数の動きがほぼ一致していることがわかります。
2つの変数の関係性を見る相関係数は、0.95とかなり強い相関関係を示しています。特に東京都の都心部になると、総額でいうと建物建築費よりも土地価格の占める割合が高くなる傾向があり、土地価格がマンション価格に大きく影響を与えています。
2021年の東京都地価公示は、8年振りにマイナスになりましたので、データ上今後、不動産価格指数も下落する可能性はあります。しかし、コロナショックが起こった後でも、東京都の区分マンション不動産価格指数が上昇し続けていることもあり、価格の高騰が更に続くことも考えられます。
また、今後、新型コロナウイルスが落ち着きをみせ国内経済が回復してくると、更に価格が上昇していく可能性も拭い切れません。
社団法人 住宅・不動産総合研究所
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