不動産コラム

世界の不動産投資家からみた東京の今

(一財)日本不動産研究所は11月29日、17回目となる「国際不動産価格賃料指数」(2021年10月現在)の調査結果を発表しました。本調査は、東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドンの14都市を対象都市として、価格時点(各年4月1日、10月1日)において、対象物件の新築・新規契約を前提とした1平方メートル当たりの価格・賃料を指数化しています。
 
今回は、世界の都市と比較した東京についてみていきましょう。
 

東京はオフィス賃料の下落が続く

 

 
(「国際不動産価格賃料指数(2021年10月現在)より転載。以下同様)
 
オフィスとマンションそれぞれの価格、賃料指数を見ると、東京ではオフィス賃料のみが変動率マイナスとなっています。実際のところ、東京ではオフィス空室率の上昇が続いています。オフィス仲介大手の三鬼商事によると、2021年10月末時点の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均空室率は、前月比0.04ポイント上昇の6.47%で、2014年5月(6.52%)以来、7年5カ月ぶりの高水準となっています。空室率の上昇は20カ月連続で、月次調査が始まった02年以降で最長となっています。
 

東京のマンション価格は動かない

 

東京のマンション価格指数・賃料指数(2010年10月=100)

 

 
次は、東京のマンション価格についてです。2010年10月を100とした指数は2021年10月時点で116.1、前回調査よりも0.3%の上昇、賃料指数は109.7で前回と変わりませんでした。グラフを見るとあまり変動がないように感じられます。実際に他のアジア都市と比較しても、東京の変動の小ささはよく分かります。
 

アジア都市のマンション価格指数・賃料指数(2010年10月=100)

 

 
ボラタリティが小さいということは、一般的には、低リスクであると言えます。キャピタルゲインを考えるのであれば、世界にはより魅力的なエリアがあるかもしれませんが、長期的な経営を考える海外不動産投資家は安定性を東京の魅力のひとつと捉えているようです。実際、日本の不動産を購入しようという海外投資家が再び増え始めていると言われています。また、海外投資家は、東京の不動産価格が他国に比べて割安であると感じているようです。海外投資家からの需要が今後増え続ければ、東京の不動産価格自体も上昇すると考えられます。
 

ニューヨークでは都心回帰の傾向が

 
最後に、ニューヨークの不動産について見ていきましょう。
 

ニューヨークのオフィス価格指数・賃料指数(2010年10月=100)

 

 
ニューヨークでは、新型コロナウィルス感染拡大で、企業の経済活動の制限が続き、オフィスの空室も目立ってきました。さらに、郊外への人口流出やテレワークの普及で、オフィス市場自体が停滞していました。しかし、下落基調は若干落ち着きを見せ始めている状況と言えます。
 

ニューヨークのマンション価格指数・賃料指数(2010年10月=100)

 

一方、マンション価格指数、賃料指数ともに、上昇傾向にあります。ワクチン接種が進み、新型コロナウィルスが猛威を奮っていた頃に比べて落ち着きを見せ始めると、オフィス出勤が再開することで、これまでのように都心部に住環境を求める動きが活発化し、需要が増えてきたことで、マンション価格指数では前回調査(21年4月)よりもプラス2.2%、マンション賃料指数はプラス5.0%と大幅に回復を見せました。 今後東京でもニューヨークと同じように、都心回帰が再び進行するのでしょうか、注目です。


     


収益不動産ONLINE編集部

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