2023年08月30日(最終更新:2023年08月30日)
今回は、東日本レインズより発表された「年報マーケットウォッチ2022年・年度」のデータから、首都圏中古マンションを属性別で考察していきます。
出展:東日本レインズ「年報マーケットウォッチ2022年・年度」
まずは、成約状況についてみてみましょう。上のグラフは東日本レインズが統計を開始してからの成約件数と成約㎡単価の長期グラフです。首都圏の中古マンションの成約件数は、年々増加しています。
近年では、2020年に新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、営業活動などの制限を受けたほか、消費者の買い控えがあったために成約件数は大きく減少しました。
翌年はその反動で大きく上昇し、レインズの統計開始以来、最高の成約件数である39,812件となりました。しかし、2022年は成約件数が大きく落ち込みました。前年比マイナス11%で、2年ぶりの減少、コロナ禍の2020年よりも少ない35,429件となりました。
コロナ禍の反動需要がいったん落ち着きを見せています。
次に、成約㎡単価ですが、これはグラフを見ても明らかな通り、2022年は統計開始以来最高価格で、67.24万円/㎡でした。上昇傾向はコロナ前から続いていましたが、2022年は特に上昇幅も大きく、統計開始以来の最高上昇率で前年比12.4%でした。中古マンションの価格が高騰していることがよく分かります。
駅からの交通別で成約㎡単価を算出したグラフ(上)と、2013年を100として数値化したグラフ(下)です。これを見ると、徒歩10分以内物件の優位性が高いことが分かります。徒歩21分以上の物件とバス便は価格帯としては、同水準である様子も見られます。
また、右のグラフを見ると、近年、特に2020年以降は徒歩時間、交通手段問わず価格が上昇しているのが分かります。利便性の面で劣るバス便でも、近年は価格が大きく上昇しています。
ただ、中古マンション価格自体が高騰しているため、「バス便」物件でも以前よりも価格は上昇しているのは確かですが、取引自体は減っています。2022年では、「バス便」物件の成約件数は全体の6.7%で、過去10年でも最も低い水準でした。
最後に、距離圏別で中古マンションの成約状況を見ていきましょう。下のグラフは、東京駅を起点とした各物件の最寄駅までの鉄道路線最短距離を、距離圏別で区分して、それぞれの成約件数が、全体に占める割合を示したグラフが以下の通りです。
赤色の折れ線グラフで示した成約物件の東京駅からの平均距離は、年々縮小傾向にあります。コロナ禍でテレワークが浸透したことで、郊外の物件に注目が集まっていると言う話題はよくありますが、実は、距離的には縮小化が進んでいるようです。
東京駅からの距離感をざっくりと円で示したのが以下の地図です。
10km圏内というと、北は北千住や王子など、東は荒川を挟んで葛西など、南は品川エリア、西は渋谷より先の下北沢などを含む、都心エリアです。2022年はこの10km圏内のエリア内の契約が、全体の28%で過去最大となりました。
ここまで見てきた通り、「駅近」「都心」という優位性が、成約状況にも反映されているのが分かります。中古マンション全体としての価格上昇が続いておりますが、今後とも優位性のある物件とそうでない物件の二極化が進むと考えられます。
収益不動産ONLINE編集部
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