いよいよ消費税が10%へ引き上げ! 消費税増税と物価指数、国債金利の関係を考察
不動産コラム

いよいよ消費税が10%へ引き上げ! 消費税増税と物価指数、国債金利の関係を考察

2019年も1/4が過ぎようとしています。(執筆時:3月中旬)

4月1日には新元号発表され、5月1日は現天皇が上皇になり、そして現皇太子が新天皇となり、あたらしい時代がスタートします。花見シーズンが終わると、一気に改元ムードになる事でしょう。2019年の上期はあっという間に過ぎてしまいそうです。

夏が過ぎて秋が来ると、10月からは、いよいよ消費税が10%になります。
2014年4月に5%から8%に引き上げられて以来5年半ぶりの増税となります。今回の増税では、増税負担が軽減されるように様々な対応策が予定されているため、あまり大きな駆け込み需要は起こらないだろうと予想されていましたが、意外にも多方面で駆け込み需要の兆候があるようです。

意外に多い駆け込み需要、その訳は?

個人消費の中でも最大級の価格である住宅購入ですが、ハウスメーカー各社のモデルハウス来場者は年明けからかなり増えているようです。

3月までに建築請負契約を結ぶと竣工が2019年10月の増税後でも8%が適用されるため、3月末契約の数が増えそうな勢いのようです。これは、「経過措置」と呼ばれるもので、注文住宅の工事請負契約や、賃貸住宅の請負契約などの場合、2019年3月31日までに契約すると、2019年10月以降の引渡しでも8%になるというものです。

各種建築価格は、労働人経費の高騰、原材料費の高騰等が原因で高くなってきています。「そのうち、安くなるだろう」と建築時期を先延ばしにしていた方も、「もし、下がるとしてもしばらく先だな」と思いが広まってきており、「だったら、消費税増税前に」と、いう思いで契約に至るようです。

さらに、ローン金利は、史上最低水準がつづいています。こうした3つが重なり、「結局、買い時は増税前のいま!」というムードなわけです。これが、予想外に駆け込み需要が増えた背景だと考えます。

2019年9月末までの引き渡しなら、消費税は8%

「住宅建築では2019年9月末までの引き渡しなら、消費税は8%」と当たり前のことを書きましたが、先に述べた「経過処置」の事が広く知られているため、意外に忘れられているのかもしれません。

例え4月に契約しても9月30日に引き渡しを受ければ、消費税は8%になります。

ハウスメーカーの中には商品の中にはパネル工法の住宅、パネル工法の賃貸住宅の商品があり、これらの工法ですと、上手くいけば、工期は半年もかからないことも多いようなので、経過処置が切れる3月末を超えても、まだあきらめないでもいいと思います。

消費税増税と物価、国債金利の関係

最後に、消費税増税が大きく影響する物価指数と国債金利の関係を見てみます。

消費税増税と金利の関係

消費税増税と金利

図は、1989年から2019年年初までの国債金利(10年物、30年物)の推移とCPI(消費者物価指数)の推移を示したものです。

CPIは、1989年~1995年頃まで上がり続けていましたが、その後横ばいになります。消費税が3%から5%になった時に、大きく跳ねますが、その後は横ばいからやや低下気味でした。ミニバブル期には一瞬上がりますが、また停滞を続け、2014年の消費税増税で大きく上がり、その後は好景気と金融緩和に支えられて上昇基調にあります。

一方、国債金利ですが、バブル崩壊後一貫して金融緩和政策をとり続けているため、金利は低下を続け、今ではほぼ0金利です。

10年物国債とCPIの相関係数は、-0.71と強い逆相関になっています。つまり、国債金利が下がると、CPIは上がるということで、政府の政策の結果が出ていると言っていいでしょう。

2019年10月の消費税増税で、また大きく跳ねあがることは確実ですので、日本は徐々に少しずつインフレ基調に向かっていると言えなくないと思います。

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