2022年07月25日(最終更新:2023年06月15日)
新型コロナウィルス禍で迎えた3年目の春、一年の中で最も人の動きが多い3月4月期の人口移動はどのように変わったのでしょうか?
引用:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 」
まず青色の転入者数について見てみましょう。
新型コロナウィルスが感染拡大し、我が国で1回目の緊急事態宣言が出されたのが2020年4月7日でした。
移動を取りやめた人の数がそこまで多くなかったためか、2020年の3月4月の転入者数は2019年に比べて東京都でマイナス1.6%の16万2,604人でした。多少減少したものの16万人をキープしました。
転入者数が新型コロナウィルスの影響を大きく受けたのは、翌年2021年で、16万人を割り、15万5,035人でした。これは、コロナ禍でテレワークが浸透してきたことが背景にあると思われます。
また、これまで正社員として働く場合、転勤や異動は会社都合で決められるもので、単身赴任や家族の転居も致し方ないと思われていた風潮がありますが、最近では、個人の事情に配慮し、希望を尊重、転勤を強制しない企業が増加している傾向があるようです。
この動きに、コロナ禍が拍車をかけている格好です。このような企業の動向も定着しつつあるのか、2022年の転入者数は縮小傾向が進まず、2021年と同水準の15万5,274人でした。
一方、転出者に関しては、転入者とは傾向が異なるようです。コロナショック最中の2020年3月、4月は、東京都から出ていく人の数が増え、転出者数は前年同期比4.6%増の11万7,873人でした。
翌年2021年も人口流出の流れは止まらず、6%増の12万4,884人でした。コロナ禍から2年目となり、テレワークという働き方も定着し、居住地について考え方を変え行動に出た人が多かったためか、転出者数が増えました。
しかし、この傾向はそのまま定着したとは言えず、2022年は人口流出が縮小し、2020年の水準に戻りました。ただ、コロナ前の2019年の水準にまでは回復していません。
次に、年齢別に転入者数の変化の傾向を見てみましょう。
3月・4月期における東京都への転入者数を年齢区分別に見たグラフです。2020年は、15歳~19歳の転入が大きく減りました。この年代は、大学等の進学で上京する層がメインと思われますが、2020年の4月は多くの大学で入学式が中止となり、上京を後ろ倒しにする人が多く、この層の転入者が激減しています。
最後に、3月・4月の転出超過数をコロナ前後で、見てみましょう。コロナ禍で人の移動が抑えられたとはいえ、やはり、東京の求心力は依然としてあるようで、どの年も転入超過となっています。しかし、コロナ前の2019年の水準からはかなり縮小しています。
ただ、2022年は若干、転入超過数の縮小傾向が緩和されています。今後はコロナ禍前のように東京への求心力が回復すれば、東京が転出超過になるという事態は起こらないと考えられます。
収益不動産ONLINE編集部
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