加速する32年ぶりの円安水準! 円安が日本の不動産市況に与える影響とは?
不動産コラム

加速する32年ぶりの円安水準! 円安が日本の不動産市況に与える影響とは?

円価格は32年ぶりの安値を更新

円安が止まりません。外国為替市場では円安がさらに加速し、円相場は10月21日に一時1ドル=150円台をつけ、1990年以来32年ぶりの円安水準をさらに更新しています。

USドル/円の為替レートの推移※月間の平均レート

USドル/円の為替レートの推移※月間の平均レート

米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを抑えるため大幅な利上げを続ける一方、日本銀行は金利を低く保つ姿勢を維持していることから、金利の高いドルを買い、円を売る動きが続いている状態です。

このような円安基調は、日本の不動産市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

建築費の高騰は続いている

まずは、建築費の高騰です。食料品を中心に、様々な物の値上げのニュースが毎日のように耳に飛び込んできますが、もちろん、住宅や住宅設備メーカーも同様で値上げラッシュが続いています。

建築工事費デフレーター(2015年基準)

建築工事費デフレーター(2015年基準)

国土交通省「建設工事費デフレーター」より作成

コロナ禍以降「ウッドショック」という言葉が聞かれるようになりました。

これは、新型コロナの影響で、在宅時間が増え、アメリカなどで新築住宅需要増をもたらし、その影響が輸入木材の価格や国内の流通価格にも影響し、木材価格が高騰するという現象です。

また、人手不足やロシアのウクライナ侵攻による物流への影響などにより、木材や鉄鉱石、原油などの資源価格が高騰しています。そのため、建築資材全般の価格上昇が続いています。

今後もしばらくの間、円安が続きそうですので、資材の価格が上昇していき、建築費がさらに上昇すると見られます。

海外投資家も割安感に好感

以前より日本は、不動産投資という観点で、海外投資家からは好条件がそろう魅力的な場所でした。

マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の価格水準比較

海外主要都市の「価格」水準を比較しましょう。

マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の価格水準比較

マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の賃料水準比較

続いて「賃料」水準を比較しましょう。

マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の賃料水準比較

日本不動産研究所「第18回国債不動産価格賃料指数(2022年4月現在)」より転載

不動産の投資利回りは新興国に比べれば低い傾向にありますが、日本は政治が安定しており、リスクの点では新興国より小さいと言えます。また、不動産価格は経済規模を考えれば、他国の不動産よりも相対的に安く、借入金利も安いため不動産投資はしやすい環境と言えます。

上のグラフのように、東京よりも香港や台北、北京の価格水準は高いですが、賃料は東京の方が高く設定されており、投資効率は東京の方が魅力的であると言えます。

そこにきて、円安が進むと、海外投資家にとっては日本の不動産が割安に感じられ、好条件であると言え、益々海外からの投資が増えていくものと考えられます。

金利動向にも注意が必要

海外投資のマネーが円安によって日本の不動産市場に流れ込むことによって、不動産市場の活性化につながるということは、日本にとってはメリットに感じられます。

しかし、いざ、我々が不動産投資をしようと思い、物件を購入しようとしても、価格が高く手が出せない状態になっているかもしれません。更に、欧米諸国のように金利が上昇してしまった場合は、更なる痛手になると見られます。

不動産投資を検討するにあたり、海外投資家や金利の動向に注意していく必要があります。

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