【投資の極意 第63回】インフレと不動産① 現在の日本の状況は?
不動産コラム

【投資の極意 第63回】インフレと不動産① 現在の日本の状況は?

物価高の影響で2023年9月に入っても、さまざまな商品が値上がりしました。株式会社帝国データバンクによると、飲食料品値上げは、合計で2067品目のようです。値上げが続く中で、ここで改めて「不動産投資がインフレに強い理由」について考察していきたいと思います。

今回は、前半部分として「インフレ」について詳しく見ていきましょう。

現在の日本の物価上昇の状況は?

まずは、インフレを数値で見るために重要な「消費者物価指数」について見ていきましょう。

消費者物価指数 全国・東京都区部(前年同月比)

消費者物価指数 全国・東京都区部(前年同月比)

出典:総務省統計局「消費者物価指数」

上のグラフは、総務省統計局が発表する全国消費者物価指数と東京都区部消費者物価指数を示しています。東京都区部の数値は、速報値として全国データに先立って当月分が月末に公表されます。

消費者物価指数とは、消費者が日常的に購入する商品の価格動向を示す指数です。対象商品は、私たちが日常購入する食料品、衣料品、電気製品、化粧品だけでなく、家賃、通信料、授業料、理髪料などのようなサービスの価格の動きも含まれ、2020年基準で指数に採用している品目は582品目とされています。

消費者物価指数は物価の動きを示す指数ですから「対前年比」で見るのが一般的です。たとえば、8月18日に発表された2023年7月の消費者物価指数では、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コア指数)が105.4となり、前年同月比3.1%上昇し、「上昇率が3%を上回るのは11カ月連続」と報じられました。物価上昇が継続的に続いていることがわかります。

インフレとは?

インフレとは、モノの値段があがること、そして、通貨の価値が下がること、となります。100円で買えていたものが120円、130円と値上がりすれば、これまで100円で買えていたものが、購入できないということになります。つまり、通貨の価値が下がることを意味します。

インフレには、良いインフレと悪いインフレがあると言われています。良いインフレとは、需要が旺盛となり、各企業が販売価格を上げ、それに伴い企業収益が増え、それが還元されて従業員の給料が増え、それが消費にまわる=需要が増える、という循環が起こっている状況です。

消費者は物価上昇による生活費の増加を給料の上昇で相殺することが出来、かつ、購買意欲もあるためモノがたくさん売れるという好循環で景気は良くなります。つまり、良いインフレは「景気の拡大をともなうインフレ」をいいます。
一方で、悪いインフレとは「不況下のインフレ」です。需要が増えない、また消費者の所得が増えない状況のなかで、原材料費や仕入れ単価が上昇し企業が価格を上げざるを得なくなり、全体的に物価が上昇します。そのため、家計が圧迫されるような状況です。

では、現在の日本の状況は、「良いインフレ」と言えるでしょうか?下図のように日本は、諸外国と比べると、所得が増えていない環境下にあります。

実質賃金の国際比較

下記は1995年以降、各国賃金ベースの比較です。

図左はG7(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、日本)。図右はその他主要先進国(オーストラリア、デンマーク、フィンランド、韓国、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン)の計15ヶ国です。
なお、カナダ及びニュージーランドについては賃金・俸給が、韓国、オーストラリア(2000年以前及び2018年以降)については雇用者数がOECDのデータから取得できないため、集計対象外としています。

実質賃金の国際比較

厚生労働省「経済指標の国際比較」

同じ厚生労働省の資料で、過去25年間の伸び率は0.0%となっています。

また、消費者がインフレに慣れていない日本では、そういった消費者の心情を配慮してからか、企業も物価上昇を価格に転嫁することを避ける傾向があると言われています。そうなると、企業業績の向上には結びつきません。そして、賃上げにもつながりません。さらに、日本では、企業と従業員の関係において、「一度上げた給与を下げることをしにくい」ということが伝統的にあり、そのため多くの企業は賃上げに慎重、もしくは横並び姿勢です。
今後、物価上昇に伴って、さらに賃金が上がっていけば、消費が増えることで良いインフレ状態となり、経済状況が好転すると期待されています。

ここまで、インフレについて再確認しました。次回は、「インフレ」と「不動産投資」の関係性について詳しく見ていきましょう。

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収益不動産ONLINE編集部

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