よりよい住環境への意識が背景に？ 2022年首都圏中古マンション成約単価は堅調に推移

コロナ禍を経て、人々の住環境への意識が変わりました。よりよい住環境を求める動きが益々増えています。

そのような背景もあり、首都圏中古マンションの成約単価は堅調な推移を見せています。過去10年間を振り返り考察していきましょう。

成約件数が減少するも成約単価(㎡)は上昇

首都圏中古マンション成約件数・成約単価(㎡)

東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向」より作成

東日本不動産流通機構（東日本レインズ）が発表した、2022年1年間の首都圏不動産流通市場動向によると、首都圏の中古マンションは2年ぶりに成約件数が前年を下回り35,429件(マイナス11％)でした。

1㎡当たりの成約単価は前年比プラス12.4%の67万2,400円で、10年連続で上昇しました。㎡単価は、この10年間で76.1％も上昇したことになります。また、平均成約価格は1991年以来31年ぶりに4,000万円台となり、価格の上昇が際立つ1年となりました。

地域別に成約件数を見ると、東京都が前年比マイナス7.4％、埼玉県マイナス14.7％、千葉県マイナス13.0％、神奈川県マイナス15.6％と、すべてのエリアで前年を下回っています。

首都圏の成約件数を振り返ってみると、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年には、緊急事態宣言など人の動きが制限されたため、取引件数自体が一時的に落ち込みましたが、底固い住宅需要があり、成約件数が2019年比でマイナス6%と大きく落ち込むことはありませんでした。

2021年には、コロナ禍で溜まった需要の反動で、住宅需要が拡大し、成約件数も前年比11.1%で拡大しました。コロナ禍でリモートワークが普及したことも、需要拡大の大きな一因となっています。

2022年には住宅需要が落ち着きを見せたことと、過去最高となった2021年の成約件数があまりにも多かったことなどで、前年比で大きくマイナスになったと見られます。

在庫件数・新規登録件数は上昇

首都圏中古マンションの年末在庫件数と新規登録件数の年計推移

次に供給の面を見ていきましょう。上昇基調であった在庫件数や新規登録件数は新型コロナウイルスの感染拡大を機に減少に転じました。

供給量が減少したことも、先に見たような中古マンション価格高騰の一因とも言えます。しかし、その後は上昇し、2022年は在庫件数・新規登録件数ともに上昇となりました。

首都圏中古マンション新規登録㎡単価の推移

2022年より、新規登録の集計範囲を変更（媒介契約更新や登録期間延長を除く新たな登録のみに絞って計上）しているため、前年との単純な比較はできないという点に注意が必要ですが、その前提に立った上でも、2021年、2022年では新規登録㎡単価が大きく上昇しているのが分かります。売り手側の強気な値段設定と言えます。

先ほど見てきたように、成約件数が落ち着きを見せており、一方で、在庫や新規登録件数が減少傾向にあることから、今後は、需給がひっ迫した状況が和らいでいき、価格の上昇が落ち着きを見せると考えられます。

首都圏中古マンション登録から成約までの日数

東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向」より作成

最後に、首都圏レインズで成約した中古マンションの登録から成約までの日数の推移をみていきましょう。数年前までは、80日前後で推移していましたが、2021年は74.7日と短縮化、更に2022年は71.4日まで短期化しました。

コロナ禍を経て、よりよい住環境への需要は益々増えています。好条件の中古マンションは、強気の価格設定でも早くに売れていたと考えられます。今後も好条件の物件への需要は底堅いと見られます。

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