不動産コラム

建築費の高騰はいつまで続くのか?

東京23区の消費者物価指数が40年8カ月ぶりの前年比4.0%

1月10日に総務省より東京23区の2022年12月消費者物価指数が発表されました。この発表によりますと、天候による変動が大きい「生鮮食品を除いた指数」が、前年同月比で4.0%上昇しました。4%台の上昇となるのは、1982年4月以来40年8か月ぶりの高い水準となります。主な上昇要因は食料品の値上げで、「生鮮食品を除く食料」は前年同月比で7.5%上昇し、1976年8月以来46年4か月ぶりの高水準となりました。また、あわせて発表された、東京23区の2022年年間の消費者物価指数は、速報値で、「生鮮食品を除いた指数」が前の年と比べて2.2%上昇しました。2.2%の上昇率は2014年以来8年ぶり、消費税率引き上げの影響を除くと、1992年以来30年ぶりの水準となります。

物価の上昇と同じように建築費も上昇しています。

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円安でさらに加速する建築費の上昇

建設工事費デフレーター(住宅総合)の推移

下のグラフは、2015年を基準とした、「建設工事費デフレーター(国土交通省が公表している)」の推移です。

建設工事費デフレーター(住宅総合)の推移

国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年度基準)」より作成

建設工事費関連の価格は2021年の春ごろから大幅に上昇を続けていますが、これは世界的に木材価格が上昇する「ウッドショック」のためです。ウッドショックの背景は、新型コロナウイルスによりアメリカ等の先進各国で住宅需要が増えたことがあげられます。

リモートワークが進み、郊外に移住したり、自宅をリフォームしたりする人が増えたことに加えて、当時金融緩和が進み低金利であったことで、住宅需要が増えました。木材に対する需要は急増しましたが、一方で、大規模な山火事が起こるなど、原材料が不足するなどして、供給量は少なくなっていました。このようにして世界的に木材価格が上昇し、その影響を日本も大きく受けることになりました。

2022年以降は、円安の影響も加わり木材価格は更に上昇しています。円安は、言うまでもなく輸入品価格に大きな影響を及ぼします。建築資材の多くを輸入に頼る日本では、建築工事費にも大きな影響を与えています。それでは、建築工事費の上昇は、昨今の物価上昇と比べてどの程度なのでしょうか?

建設工事費デフレーター(住宅総合)・消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年同月比推移

建設工事費デフレーター(住宅総合)・消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年同月比推移

国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年度基準)」総務省統計局「消費者物価指数」より

建設工事費デフレーターと消費者物価指数の前年同月比の推移を比較したグラフです。それぞれ、異なった算出方法で出された指数なので、単純比較は出来ませんが、2つの指数とも山や谷の箇所が似ているのが分かります。しかし、建設費の上昇の方が、2021年以降、消費者物価指数よりもはるかに、上昇率が高いのがグラフから見て取れます。

価格上昇は天井感か?一方気になる人材問題

最後に、資材別の価格についてみていきましょう。

建設工事費デフレーター素材別前年同月比の推移(2020年1月~)

建設工事費デフレーター素材別前年同月比の推移(2020年1月~)

これを見ると、コロナ後に需給関係の崩れから値上がりした木材は、2021年後半、非木材の資材に大きく差をつけて値上がりしました。しかし、2022年後半からは価格上昇の度合いも落ち着きを見せ、反対に非木造資材の高騰が目立ってきました。ただ、現在は非木造の鉄鋼資材の価格も一時より価格の高騰が鈍化している状況です。

深刻化する人手不足も建築費アップに影響

最後に言及しておかなければならないのは、建設業の人材不足です。「建設業の2024年問題」と言われている、2024年4月に控えた「働き方改革関連法」の建設業への適用は、建設会社にとって喫緊の大きな課題となっています。具体的には、「労働時間の上限規制」などがあります。これまで常態化していた、建設業の残業ですが、他の業界と同じように「月45時間、年360時間」の上限が設けられます。建設業で働く方にとっては、勤務環境が改善される兆しとなりそうですが、生産性の向上はすぐに進むわけではありません。残業が出来ない分、納期や人件費に大きな影響が出てくると見られます。ただでさえ、建設業界では人手不足が深刻化しています。人件費が高騰すれば、さらに建築費を押し上げることにもなりかねません。

     
収益不動産ONLINE編集部

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