2020年01月23日(最終更新:2023年06月12日)
不動産投資をするにあたっては、入居者ニーズは必ず把握しておく必要があります。入居者ニーズに十分に応えていない物件は、空室になる可能性を秘めており、長期的には利回りの低下につながる可能性があります。
今回は、入居者ニーズを考える際のポイントを見ていきましょう。
引用:株式会社リクルート住まいカンパニー「2018年度 賃貸契約者動向調査」
上図は、リクルート住まいカンパニーの調査データです。
重要な視点は、ターゲット層によってもニーズが大きく異なるということです。例えば、女性と男性ではセキュリティに対する考え方も異なりますし(図表内緑枠)、追い焚き機能付きの風呂やシステムキッチンに対しての要望も、ひとり暮らしと2人・ファミリーでは大きく変わってきます(図表内青枠)。
一方、24時間出せるゴミ置き場やネット環境のような利便性に対する要望は、どの層でも変わらず需要があり、時代の流れと言えそうです。
出展:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」
次にニーズを時系列でみていきましょう。こちらのグラフは、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」の中で、建築の時期別で民営賃貸住宅における間取りタイプ別の割合を見たグラフです。
1990年代からワンルームが増えているのがよく分かります。核家族化や晩婚化が進むにつれて、単身者へ向けの賃貸住宅が増加していきました。また、日本全体の所得水準も高くなるにつれて、より豊かでゆとりのある住環境が提供されるようにもなりました。特に間取りに関しては、従来のダイニングキッチンにリビングも備えた「LDK」が登場し、普及し始めます。時代とともに、間取りのトレンドが変化していっています。
更に、前述のリクルート住まいカンパニーのアンケート調査によると、ひとり暮らし(学生)には、「6畳」の部屋よりも「3畳ロフト付(バストイレ別)」の超狭小部屋のほうが人気がある傾向にあるという結果が出ました。
バブル期に不動産価格が高騰する中、狭い部屋で少しでも室内を有効に利用しようと設置されるようになったロフト。しかし、「空調が効きづらい」などの理由で、ロフトブームは一旦下火になりましたが、ここに来てまた人気が出始めているようです。
これまで入居者ニーズについて見てきましたが、全てのニーズを汲み取ろうとすると、もちろん建築費や修繕費としてかかってくるためナンセンスです。
立地やターゲットに即して入居者ニーズを取捨選択する必要があります。また、前述のロフトがそうであるように、住まいにも流行り廃りは必ずあります。不動産投資は長期に渡る経営となるので、将来的な社会動態や技術革新、生活スタイルの変化などは考慮するようにして、それ以外の細かいニーズの変化には意識しつつも左右されすぎないことも重要です。
収益不動産ONLINE編集部
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