2021年10月12日(最終更新:2023年06月14日)
9月21日に土地を取引する時の目安となる2021年の「基準地価」が発表されました。
基準地価も公示地価と同じように、一般の土地取引のほかに、地方公共団体や民間企業の土地取引の目安として活用されています。
ただし、公示地価が基本的に対象は都市計画区域内となっているのに対し(ただし、都市計画区域以外でも不動産の取引が行われると予想される土地に関しては鑑定される場合がある)、基準地価は特にこのような縛りがないので、公示地価の評価対象には含まれない地点なども対象となる場合があると違いがあります。
それでは、早速、2021年の基準地価について見ていきましょう。
東京都の基準地価は、新型コロナウィルス感染拡大前までは上昇していましたが、2020年からその勢いに大きくブレーキがかかりました。
住宅地では2020年は前年比0.2%、今回発表された基準地価では、同じく0.2%の増加に留まりました。とは言え、上昇は上昇であり、47都道府県の中で、前年比でプラスであったのは、東京を含むわずか7都県のみでした。
一方商業地は、2012年以来9年振りに、変動率がマイナスになりました。中でも、商業地の下落率が一番大きかったのは新宿区歌舞伎町1丁目で10.1%の下落、次いで2番目と3番目は中央区銀座と、新型コロナ流行の影響で訪日外国人が減少したため需要が低迷するなどして商業地は大きな影響を受けました。
引用:国土交通省「都道府県地価調査」
変動率の分布を見ると、世田谷区が最も開きがあるのが分かります。
実際に、23区の住宅地変動率で上位8位に世田谷区太子堂3丁目の「第1種中高層住居専用地域」地点がランクインしていますが、下落率ではトップ10全てが世田谷区となっています。
また、世田谷区は、23区の住宅地の調査対象地点352のうち、最多の45地点ありますが、21年基準地価がマイナスであったのは、23区全体で28カ所あり、このうち半数の14地点が世田谷区でした。
下落率が高かった上位10地点は以下の通りです。
1位:岡本3-7-2
2位:千歳台2-42-5
3位:赤堤3-9-11
4位:給田4-3-8
5位:喜多見4-3-13
6位:給田5-10-10
7位:北烏山1-37-3
8位:尾山台1-17-4
9位:八幡山2-14-10
10位:船橋4-5-9
最も下落率が高かったのは、世田谷区岡本3丁目でマイナス2.0%。このエリアは、最寄りの用賀駅まで約1.8キロ、徒歩で言えば約20分で交通利便性が高いとは言えないようなエリアです。地図にプロットしたように、駅からの遠さは、下落率の上位10地点では全て該当しており、また、どの地点も用途地域が「第1種低層住居専用地域」で、戸建て住宅が多い地域でした。
テレワークの浸透による戸建需要が増加していると言われていますが、その点はまだ反映されていないようです。
大田区に次ぐ面積に、23区で最も多い人口を誇る世田谷区。都道府県地価調査における地点数も最も多いという点も、今回下落率が目立ってしまった一因とも言えるかもしれません。
いずれにせよ、今回の世田谷区における基準地価下落地点の増加が、コロナ禍における一過性のものなのか、東京都の地価の今後を暗示しているのか、引き続き注目していく必要がありそうです。
収益不動産ONLINE編集部
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