賃料水準と販売価格のギャップが魅力?! 海外投資家も注目する東京の不動産市況
不動産コラム

賃料水準と販売価格のギャップが魅力?! 海外投資家も注目する東京の不動産市況

このほど一般財団法人 日本不動産研究所から「第47回不動産投資家調査(2022年10月現在)」が発表されました。

不動産投資に関連する企業は、東京の不動産市況についてどのように見ているのでしょうか?今回は賃貸住宅とオフィスの調査結果を考察していきます。

国内外から注目を集める日本の不動産

賃貸住宅の期待利回り推移

賃貸住宅の期待利回り推移

((一財)日本不動産研究所「不動産投資家調査」より作成)

まずは、賃貸住宅の期待利回りについて見ていきましょう。

東京城南エリアのワンルームタイプの期待利回りは、前回調査(2022年4月)から0.1ポイント低下の3.9%で、調査開始以来、初めて4%を切りました。

また、ファミリータイプも前回より0.1ポイント下落して4.0%でした。東京の賃貸住宅では、期待利回りの低下が続いており、賃貸住宅の投資熱が日本で高まっていることがよく分かります。

ただ、投資熱の源は日本だけではありません。アメリカの金融引き締めによる影響で、世界的に金利上昇局面にありますが、国内では未だ大きな金融引き締めが行われておらず、世界からの日本不動産への投資熱が高まっていることが、キャップレート下落の一因であると言えます。

マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の価格・賃料水準比較

(2022年10月時点の東京/港区元麻布地区=100)

マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の価格・賃料水準比較

(一般財団法人 日本不動産研究所「国際不動産価格賃料指数(2022年10月現在)」より作成)

上の図表は、一般財団法人 日本不動産研究所による「国際不動産価格賃料指数(2022年10月現在)」です。東京港区に所在するハイエンドクラスのマンション価格(1戸の専有面積あたりの分譲単価)、マンション賃料(1戸の専有面積あたりの賃料単価)をそれぞれ100.0とした場合の各都市との比較指数です。

なお、比較指数の作成にあたっては、価格時点において現地通貨等で評価したものをその価格時点で円換算の上、指数化されています。つまり、円安の状況が反映された状態で、東京の価格や賃料が世界各国とどの程度差があるのかを示しています。

これを見ると、北京、上海、台北は賃料水準が東京よりも低くなっていますが、マンション価格は東京よりも高い状態にあります。これだけ見れば、東京の物件のお買い得感が際立っているようです。

更に大阪は、賃料指数が87.3と東京と13ポイント程度の開きですが、マンション価格は61.9となっており、東京に比べてかなり割安に感じられます。実際、大阪は今回の調査結果では、前回調査(2022年4月)よりもマンション価格が最も上昇しており(4.3%)、大阪エリアへの投資熱が高まっている状況にあるようです。

空室率上昇でも、期待利回りは低下が続く

次に、オフィスについてみていきましょう。

東京(日本橋駅周辺)オフィスビルの期待利回りと東京5区のオフィス平均空室率

東京(日本橋駅周辺)オフィスビルの期待利回りと東京5区のオフィス平均空室率

引用:(一財)日本不動産研究所「不動産投資家調査」、三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」

上のグラフは、オフィスビルの期待利回りと調査時点同年同月の東京5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の平均オフィス空室率を示しています。

空室率が下がると言うことは、投資家の目線では、賃料が安定的に入る可能性が高まるわけですから期待利回りは下げ基調になります。2020年まではこのロジックが当てはまり、2004年から2019年までの両指数の相関係数は0.71と高い相関関係を示していました。しかし、コロナ以降は、テレワークの浸透によりオフィス空室率急上昇の中で、オフィス期待利回りは低下を続けています。

都心のオフィス優良物件に対する投資家からの投資熱は高く、経済回復に従ってオフィス需要も高まり、空室率、賃料とも改善に向かうことが期待されているようです。また、賃貸住宅同様、国外からの投資欲も底堅いようです。

東京不動産市況の行方は

東京の不動産価格は上昇が続いており、これまでも「いつ下落するか」という議論がしばしばなされてきました。しかし、コロナ禍を経た今のところ、依然として大きな価格下落は見られていません。また、今回の不動産投資家調査でも、投資家は不動産投資への積極的な姿勢が見られました。

こうした傾向は、今後もしばらく続くと思われます。

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