2019年08月29日(最終更新:2023年06月07日)
東京都23区にはワンルームマンション建設に対する規制が設けられています。規制の詳細な内容は区によって異なりますが、「1戸あたりの最低面積を25㎡以上とすること」や「ファミリー向けルームを混在させなければならないこと」などがあります。他にも、豊島区では専用面積29㎡未満のワンルームが9戸以上の場合、建築主が1戸につき50万円の狭小住戸集合住宅税を支払わなければならず、他の地区と比べて支払う税額が多くなってしまいます。
このようなワンルームマンション規制が設けられている理由は、一人暮らし住民に関する以下のようなネガティブな事柄が挙げられます。
このような問題を避けるため、規制によってワンルームマンションに住むことが想定される単独世帯の増加を防ごうという行政機関の思惑が垣間見えます。ワンルームマンションの需要と供給はともに低減していくのでしょうか。
それでは、実際に東京都の単独世帯数はどのように変動しているかを見てみましょう。
出展:総務省『国勢調査』
国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2019年推計)
上図は総務省による国勢調査および世帯数の将来推計に基づいて作成した、単独世帯数の推移を表すグラフです。この図を見ると、東京都の単独世帯数は上昇を続けており、今後もしばらくは増え続けると予測されています。
この上昇は、大学や企業の都心回帰、2020年東京オリンピックの開催、都心部の再開発などの影響により、東京都への求心力が高まっていることが要因であると考えられます。
単独世帯数の増加はワンルームの需要拡大を促し、ワンルームマンションへの不動産投資を活性化させるのではないかと推測できそうです。
ワンルームマンションへの需要が拡大していく一方で、供給面はどのように変化しているのでしょうか。
先日、(株)不動産経済研究所より、2019年上期及び2018年年間の首都圏投資用マンション市場動向が発表されました。この発表によると、2019年上期の首都圏の投資用マンション一戸当たりの平均面積は26.40㎡となっており、ワンルームマンションが多くを占めているのだと予測できます。
出展:不動産経済研究所『首都圏投資用マンション市場動向』
上図は首都圏における投資用マンションの供給戸数と㎡単価の推移を半期ごとに記したグラフです。投資用マンションの供給戸数は徐々に増加しており、㎡単価も右肩上がりに上昇しています。
都心部でワンルームマンション規制が設けられている一方で、「単独世帯数の増加が継続していることを根拠に今後の収益が十分に見込める」と不動産投資家から予測されているのではないでしょうか。
ワンルームマンション規制は単独世帯数の増加を妨げるとともに、新築ワンルームマンションの需給を低減させるのではないかと予測されていました。しかし、実際はワンルームの供給は安定しており、需要は右肩上がりに拡大していると言えそうです。
不動産に関連する法規制と併せて、需要と供給のバランスを捉えておくことが重要だと考えられるでしょう。
収益不動産ONLINE編集部
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