2022年12月14日(最終更新:2023年05月23日)
東京都は、都心から臨海副都心を結ぶ地下鉄を2040年までを目標として開通させると発表しました。
また、23年3月には、相鉄―東急の乗り入れの為のブリッジ新線が開通し、神奈川県中部エリアと東急東横線・目黒線が直通運転となります。首都圏では、この他に有楽町線の延伸(豊洲~住吉間)、南北線の延伸(白金高輪~品川間)が予定されています。
不動産の価値を押し上げる大きな要因の1つであるインフラ整備、とくに鉄道駅の開設は不動産投資にも大きな影響を与えます。
都営地下鉄の新線は、東京駅から銀座、築地などを経由して臨海副都心まで結ぶ計画の路線です。計画されている駅は、起点が東京駅、新銀座駅、新築地駅、勝どき駅、晴海駅、豊洲市場駅、東京ビックサイト(有明)駅の全7駅です。
ちょうど、築地より先は環状2号線道路のルートと概ね重なる計画となっています。また、将来的には、羽田空港への延伸やつくばエクスプレス(TX)との接続も検討されているようで、多くの利用者が見込めるものと思います。
この区間では、築地周辺などで、1棟モノ賃貸住宅(収益マンション)や区分ワンルームマンションなどの物件が売買市場に出ていることがあります。こうしたエリアの投資物件は今後価格上昇が期待できるかもしれません。
一方、勝どきより先は、分譲マンションが多いエリアですが、この地域にも比較的大きめの収益マンションの売り物もありますので、こうした物件の価値は上昇するでしょう。今後、こうしたエリアで販売される収益マンションは買い手が付きやすくなると思われます。
また、最近話題の晴海フラッグは、公共交通機関での移動が不便と言われてきましたが、新線が開通すれば利便性が大幅に向上するでしょう。
いずれにせよ、開通見通しは2040年とされていますが、2045年くらいと思っておいた方がよさそうです。20年くらい先ということになります。
一方、間もなく23年3月に開通するのが相鉄・東急直通の新横浜新線です。海老名・湘南台~横浜を結ぶ私鉄の相鉄線は、「都心直通プロジェクト」として、西谷駅から羽沢横浜国大間にJRへのブリッジ線を新設し、2019年11月からJR横須賀線経由で大崎・渋谷・新宿方面(湘南新宿ライン)へ直通運転をスタートさせました。その第2弾として、東急目黒線への直通をスタートさせます。
羽沢横浜国大から日吉間にブリッジ線を新設し、新横浜駅・新綱島駅などを新設します。これにより、相鉄線から新横浜、武蔵小杉経由し、田園調布で東急目黒線と東急東横線それぞれへつなぎます。渋谷・目黒が直接結ばれることになります。
新横浜を中心とした横浜市港北区の利便性はこれまで以上に向上し、このエリアの不動産価格の上昇は間違いないでしょう。
また、このエリアでは賃貸住宅が多く、収益マンション(一棟)や区分投資マンションも多いエリアですので、いままで以上に価格高騰し、ますますねらい目のエリアと言えるでしょう。
開通が待ち遠しいものです。
不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディー・サイン不動産研究所 所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間30本を超える。
著書: 「データで読み解く賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。