2024年10月24日(最終更新：2024年10月24日)
2024年の都道府県地価調査の結果が国土交通省より9月17日に公表されました。
9月に公表される都道府県地価調査は、価格時点を7月1日として都道府県が主体となって全国規模で行われる地価調査です。この調査結果により公表される地価は、調査される場所を「基準地」と呼ぶことから、「基準地価」と呼ばれます。
今回のコラムでは、全国と東京圏の都道府県地価（基準地価）の分析を行います。
全国の地価は、景気回復に沿うように上昇が顕著となっています。
2024年都道府県地価調査では、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇、すべて昨年を上回る上昇幅となりました。
順にみていけば、全用途平均は1.4％の上昇（前年は＋1.0％、前々年は＋0.3％）。2020年、2021年はマイナスでしたが、その後は価格上昇が続いています。住宅地は0.9％の上昇（前年は＋0.7％、前々年は＋0.1％）で3年連続のプラスでした。商業地は2.4％の上昇（前年は＋1.5％、前々年は＋0.5％）となりました。2017年から2019年まで3年連続の上昇のあと、新型コロナウイルスの影響を受けて、マイナスでしたが、2022年以降3年連続してプラスになりました。
三大都市圏の全用途平均は4年連続して上昇、住宅地は3年連続、商業地は12年連続して上昇しました。また、三大都市圏の平均では、全用途平均と住宅地は、昨年（2023年）に新型コロナウイルスの影響前の2019年と比較して、上昇率が大きくなっていましたが、2024年には、商業地も2019年を超える上昇率となり、2019年比で上昇率は拡大したことになりました。全国的に物価の上昇、好景気が続いており、それに連動する形で地価も上昇しています。地域や用途で多少差があるもの、とくに三大都市圏では上昇幅が拡大しています。
住宅地では、圏域別で、東京圏ではプラス3.1％（前年は＋2.6％、前々年は＋1.2％）、大阪圏ではプラス1.7％（前年は＋1.1％、前々年は＋0.4％）、名古屋圏ではプラス2.5％（前年は＋2.2％、前々年は＋1.6％）となっています。いずれも、上昇幅が拡大しています。
商業地では、圏域別にみれば、東京圏はプラス7.0％（前年は＋4.3％、前々年は＋2.0％）、大阪圏はプラス6.0％（前年は＋3.6％、前々年は＋1.5％）、名古屋圏はプラス3.8％（前年は＋3.4％、前々年は＋2.3％）となりました。3年連続して三大都市圏が全てプラスとなりました。
住宅地では、世帯所得が増えていることなどから、住宅需要はかなり堅調で、加えて多少金利上昇傾向にあるものの依然金融緩和政策が継続していることから住宅ローンも低金利が続いていることなどより、これらが需要の下支えとなり、地価上昇が続いています。
また、大都市圏における主要地域の商業地においては、とくにホテル需要が堅調で、加えてマンション需要が旺盛な中だがマンション適地が少ないことから競合となっており、それも商業地地価上昇の要因と考えられます。不動産市況、特に地価の動向を見る限りでは、新型コロナウイルスの影響は、すでに過去のものとなっているようです。
東京圏では全体の約9割の地点で地価上昇となりました。住宅地は＋3.6％、商業地は＋7.0％。いずれも前年より上昇幅が拡大しました。
東京23区に限れば、住宅地は＋6.7％（前年は＋4.2％）、全23区で上昇、また上昇幅も拡大しました。特に中央区では＋12.4％、渋谷区では＋10.2％と、2つの区で上昇率が10％を超えました。一方で、葛飾区では＋4.2％となっており、主要区（中心区）と周辺の区で差が出ました。また、横浜市は＋3.4％、千葉市は＋4.2％となり、昨年よりも上昇幅が拡大しました。
商業地では、東京23区では＋9.7％（前年は＋5.1％）となっており、全23区で上昇、上昇幅も拡大しました。特に渋谷区では＋13.1％、インバウンド需要が旺盛な台東区では＋12.5％となっています。再開発が進むエリアでの上昇が目立っています。
2025年の9月に公表される基準地価は、大都市圏では住宅地・商業地とも今年以上の上昇が見込まれます。とくに商業地で上昇が2024年以上に顕著になると思われます。
懸念される金利の上昇ですが、2025年夏までに政策金利の上昇が1回以上あると想定されますが、需要が旺盛なこと、また賃料等の上昇が進んでいることなどから、金利上昇がよほど大幅でなければ、影響は少ないものと思われます。
