2018.10.18
不動産投資は、借入れを利用することで自己資金よりも大きな投資を行うこと出来る、つまり、レバレッジを効かせることが大きな特徴です。少ない自己資金で不動産投資が出来る点に魅力を感じられている方が多いかと思います。一方で、不動産投資の安全性という観点から考えると、レバレッジ効率ばかりを考えるのは危険だと言えます。今回は両方の考えを見ていきましょう。
レバレッジ効果とは、ローン(他人資本)を利用することで自己資本だけで購入するよりも高い収益率で運用することを言います。例えば、下のように5%の利回りの都内の一棟収益レジデンスがあるとします。ローンを利用しなければ利回りは5%のままですが、ローンを利用することで自己資金を実際の利回りの2倍で運用できるようになります。
【レバレッジ効果のイメージ】
そして、自己資金に対する年間のキャッシュフローを求めたものがCCR(Cash On Cash Return)です。CCRは自己資本比率を意味し、以下のような式で計算できます。
CCR = 年間キャッシュフロー ÷ 投下自己資金 × 100
投資の判断基準としては、利回り以上にCCRがあるかどうかです。
CCRを高める、つまりレバレッジ効率をあげるためには一般的には以下の3つの方法があります。
1)借入期間を長くする
2)低金利で借りる
3)頭金を少額にして出来るだけ借り入れる
まず、1)の借入期間ですが、借入期間が長くなればなるほど月々の返済金額が減るので、手元に残るキャッシュも増えます。一般的に、金融機関は法定耐用年数によって融資期間の目安を定めています。中古物件の場合は、更に築年数でマイナスが入ります。
建物の耐用年数は以下の通りです。
・木造:22年
・鉄骨造:34年
・鉄筋コンクリート造:47年
レバレッジ効率を考えるのであれば、鉄筋コンクリート造で築年数の浅い物件を選ぶといいでしょう。
一方で、返済期間が長くなると残債が減るスピードが遅くなるので注意が必要です。
次に、2)の金利ですが、これは当然ながら低金利で借りることが出来ればその分返済額が減るので、レバレッジ効果も高くなります。ただ、金利はこちらの希望で設定できるわけではなく、金融機関や物件、属性などによって変わってきます。
最後に、3)ですが、借り入れる額が多ければ多いほど、CCRを算出する際の分母が小さくなるので、その分数値は高くなります。ただ、ここばかりを重視しては、安全性の観点から考えると非常に危険です。この点について次に見ていきましょう。
DCR(Debt Coverage Ratio)、ローン返済に対して収入がどのくらいあるのか表す指標です。DCRは、不動産投資における経営の安全度合いを見る指標で、単位は「倍」で表し、返済額の何倍の収入が得られるか表をします。
DCR = 純利益(NOI) ÷ ローン年間返済総額(ADS)
DCRが大きいほど安全性が高いと言えます。一般的には1.3以上が一つの目安と言われています。
少しリスクが高くでも地方の1棟アパートを買いたい人、利益は少なくてもリスクは取りたくないので都内の中古区分マンションを買いたい人、物件を絶対に自分の目で見なければ決めたくない人…など、不動産投資家のスタンスはそれぞれです。今回取り上げた借入に対する考え方も、CCRを重視するかDCRを重視するかは読者の皆様それぞれで考え方は異なるかと思います。ただ、重要なのは、どちらかに寄り過ぎないことです。そもそも、効率と安全は対局するものでもないので、バランスよく両方の考え方を持ちながら、自らの投資スタイルを貫くよう心掛けてください。
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