シミュレーションでリスクを回避 | 不確実性を制する者は不動産投資を制する
不動産コラム

シミュレーションでリスクを回避 | 不確実性を制する者は不動産投資を制する

本連載は「不動産投資の極意」と題して、不動産投資のノウハウをお伝えします。

不動産投資をこれから始めようとしている方にはわかりやすく、そして、ご経験者の方にとっては見落としがちな基本的なことを改めて学んでいただけるコラムです。

第1回目は、不動産投資においての基本中の基本、必要不可欠なシミュレーションについてお伝えします。

不動産投資におけるシミュレーションの重要性

不動産投資は長期に渡る取り組みです。その間、様々なリスクが降りかかってくる可能性があるので、事前に長期的な見通しでしっかりと計画を練ることが重要です。

スタート時は明るい気持ち、前向きな気持ちで臨みたいところですが、しっかりとリスクと向き合って最悪のシナリオを想定しておかなければなりません。

すると、万が一、そういった事態が起こる前に対応策がとれるので、リスクを最小限に抑えることが可能になります。

不確実性をどこまで盛り込むかが重要

収益シミュレーションは多くの場合、不動産会社が作成してくれます。ただ、不動産会社によってその内容はバラバラで、不確実性をどこまで反映させているかは様々です。

もちろん、投資においては、不確実性はつきものですが、出来るだけそれらを考慮出来れば、いざ最悪の事態が起きてしまった時でも、素早く対処が出来ます。

気になるものがあれば、担当者に相談してシミュレーションに反映させてもらうようにしましょう。

空室リスクはどれくらいでみておくべき?

区分マンションと比べた時の1棟マンション所有のメリットの中のひとつに「分散投資が出来る点」があります。

区分マンションの場合、1戸しか所有していないので空室が出てしまえば、家賃収入はゼロ、その瞬間の入居率は0%となります。一方で、1棟所有の場合は、1部屋退去しても別の部屋からの家賃収入があります。

とはいえ、空室は収支に大きな影響があるので空室率についてはシミュレーションでシビアに見ていきましょう。

ここでまず注意して頂きたいのは、空室率の定義です。空室率には統一された定義はなく、管理会社よって様々です。

たとえば、1年間を通して最も入居率が高い時期の数値で表示している管理会社もあれば、退去してから1ヶ月経過した時点で空室として算出するところもあります。業者から出てきた数字の定義をしっかりとヒアリングしておきましょう。

実際、空室率をどれくらいに設定するのが最適かという点ですが、いくつかの段階に分けて考えてみましょう。

まずは、満室時のシミュレーションです。これは一番いい状態であり、これ以上収支がよくなることがないというラインと言えます。

次に、その1棟マンションのこれまでの平均入居率で試算します。新築の場合は、周辺で似たような物件を参考にするといいでしょう。リスクとしては中程度を想定していると言えるかもしれません。

最後に、過去に最も悪かった状況で考えます。これらを全て算出すると、だいたい、5%~10%に収まるのではないでしょうか。

自分で作成すればより納得感のある計画が立てられる

実は、シミュレーションは自分でEXCELを使って作成することが出来ます。EXCELには関数といって、複雑な計算を1つの数式で出来るように登録された計算の仕組みがあります。

これをマスターすれば、自分だけのシミュレーションを作成することが出来ます。何より、自分の手を動かすことで、不動産投資への理解も一層深めることが出来ます。
 
とは言っても間違いがあっては元も子もありません。特に、収益計算でややこしいのは、借入の返済額です。

ポイントとしては、作成途中で都度、各金融機関が提供している住宅ローンシミュレーションの結果で正誤を確認しながら、作成するようにしましょう。以下にシミュレーションで使う主な要素を記載するので、参考にしてみてください。

【EXCELシミュレーション例】 

EXCELでのシミュレーション例

【おもな関数例】

主な関数の例

例えば、空室率を変えてみたり、家賃が変わることを想定してみたり、もしくは変動金利において、金利が上昇することをシミュレーションすることも出来ます。

また、繰上げ返済をした場合、どのくらい返済期間が短縮できるか(返済額が減るか)なども試算することが出来ます。アイディア次第で無限大に活用できます。

何度も言いますが、自分の手を動かすことが重要なのです。理解をより一層深めることが出来ます。参考書籍も沢山出ていますので、ぜひチャレンジしてみてください。

よいシナリオも悪いシナリオもシミュレーションから

成功イメージを持って不動産投資をスタートすることは非常に重要です。しかし、しっかりとリスクと向き合うことも欠かせません。バランスよくこの二つの考え方を持って、様々なシミュレーションをすることで、ブレない軸を持ちましょう。

その軸があれば、ちょっとしたリスクに直面しても動じることなく対処することが出来るでしょう。

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