2023年04月24日(最終更新:2023年07月21日)
不動産投資において、収益を上げるためにはいくつかの仕組みや戦略があります。また、大半の方にとって「収益」を得るというのが不動産投資の主要な目的ではないでしょうか。
今回は、収益を得ることに着目し、不動産投資におけるインカムゲインとキャピタルゲインについて、それぞれ詳しく解説していきます。
インカムゲインは、投資から直接的に得られる現金フローを指します。これは定期的に受け取ることができる収入であり、主に以下のような形態で得られます。
不動産投資におけるインカムゲインは、投資から直接的に得られる現金フローのことで、ひとことで言うなら家賃収入を指します。家賃収入の利回りは、物件の取得費用に対する収益の比率として計算されます。一般的には、利回りが6%前後であることが望ましいとされています。また、利回りの評価には、表面利回りと実質利回りという2つの考え方があります。
表面利回り(Gross Yield)は、不動産投資において物件の購入価格と家賃収入の比率を示す指標です。表面利回りは、物件の収益性をざっくりと評価するための指標で、経費や空室リスクなどの要素は考慮されていません。
表面利回り(%) = (年間家賃収入 ÷ 物件購入価格) ✕ 100
例) 100万 ÷ 2,000万 ✕ 100 = 5% ⇒ 表面利回り5%
例えば、年間の賃貸収入が100万円で、物件の購入価格が2000万円であった場合、表面利回りは5%となります。
一方、実質利回り(Net Yield)は、賃貸収入から経費を差し引いた実際の収益を考慮に入れるため、表面利回りに比べてより現実的で具体的な収益性の指標と言えます。
実質利回り(%) =(年間家賃収入 - 諸経費)÷(物件価格 + 諸費用)✕ 100
例) (100万 - 20万円)÷(2,000万円 + 200万円)= 4.4% ⇒ 実質利回り4.4%
表面利回りは、不動産投資において物件の投資価値を判断する際に一つの指標として用いられますが、表面利回りが高い物件であっても、空室率や管理費、修繕費、税金、保険料などの諸費用が高い場合は、実際に得られる収益が少なくなってしまうことがあります。
また、空室率が高い場合は家賃収入が減少するため、実質利回りも低下してしまいます。したがって、物件の管理や運営に十分な注意を払うことが必要です。
不動産投資においては、実質利回りが重視されます。なぜなら、実質利回りが高い物件を選ぶことで、より収益性の高い不動産投資が可能となるだけでなく、将来的に価値が上昇する可能性が高いため、キャピタルゲインの獲得にもつながります。
したがって、投資物件を選ぶ際には表面利回りだけでなく、実質利回りもしっかりと把握し、選定を行うことが重要です。
マンション投資において、インカムゲインを得る手段として、区分所有方式と一棟所有方式の2種類があります。この2つの方法にはそれぞれ特徴があり、投資家の目的やスタイル、経済力に応じて選択されることが多いです。以下でそれぞれの違いについて詳しく説明します。
区分マンション投資は、マンションやアパートなどの一部分(1室ごと)を所有し、貸し出して家賃収入を得る投資手法です。この方法では、比較的少額の初期投資で始められ、リスクも比較的低い傾向があり初心者でも参入しやすいといえます。
ただし、一つの部屋から得られる収益は少ないため、より多くの収益を得るためには、複数の物件を所有する必要があります。
一棟マンション投資は、マンション全体を所有し、その家賃収入によって収益を得る方法です。区分マンション投資に比べ初期投資額が大きく、高い収益を期待できます。区分マンション投資と比較して、多額の収益を得ることができますが、不動産投資初心者には難易度が高い投資方法です。リスクも大きくなるため、投資に先立ち入念な調査が必要とされます。
一棟マンションは規模が大きいため、プロの管理会社に運営を委託することが一般的です。管理会社は入居者募集や家賃集金、修繕管理などを専門的に行い、適切な運営をサポートします。これにより、効率的な運営と収益の最大化が期待できます。
不動産投資においては、自身の投資目的や資金力を考慮し、区分所有と一棟所有の両者のバランスをとることが重要です。
キャピタルゲインは、不動産取得時の価格よりも高い価格で、不動産を売却することで得られる収益のことです。物件を取得する際に支払った費用と、売却時に得られる収益の差額、つまり資産価値の上昇分がキャピタルゲイン(売却益)です。
鉄道や道路といった周辺のインフラ整備が進んだり、新しい企業が進出したりすることで物件の価値が上昇するケースが見られます。
キャピタルゲインは投資家にとって魅力的な収益の一つですが、これが得られるかどうかは将来の市況や物件の立地条件などに大きく左右されるため、将来的なキャピタルゲインの獲得可能性を総合的に判断し、投資対象を決めなければなりません。
なお、反対に取得価格を売却価格が下回る場合、キャピタルロス(売却損)となります。
キャピタルゲインを得るためには出口戦略を立てることが重要です。
出口戦略とは、将来的に物件を売却する際に、どのような時期、価格で売却するかの計画です。この計画は、投資家が将来的に得られる収益を最大化するために欠かせません。不動産の価値は、物件自体の状態や立地条件、周辺環境など、複数の要素が組み合わさって決定されます。
また、価格流動性とは、投資資産の価格がどれだけ迅速に変動するかを指します。価格流動性が高い資産は、短期間で価格が大きく変動する可能性があります。
都市部の物件は需要が高く、価格が安定しているため流動性が高い傾向にあります。一方、地方部の物件は需要が低く、価格が不安定で流動性が低い傾向にあります。
価格流動性のある資産は短期的な利益を追求する投資に適していますが、リスクも高まります。一方、低価格流動性のある資産は、長期的な保有により安定したキャピタルゲインを狙うことができますが、利益の機会は限定的となります。
不動産を購入する際には、将来的なキャピタルゲインの獲得可能性を総合的に判断し、売却予想価格を想定。購入後は市況などの変化をとらえながら、売却のタイミングを計らなければならないでしょう。つまり、出口戦略と価格流動性の両方をコントロールすることが重要と言えます。
出口戦略を策定する際には、将来的な市況や需要の変化を予測するだけでなく、物件を売却する際に必要な手続きや費用、期間なども考慮して総合的に判断する必要があります。不動産の売却は他の金融商品と比較して、手続きや期間が大幅に異なることが多いため、下記に関して適切な準備を行うことが重要です。
不動産の市場は変動するため、将来的な市況や需要の予測を行うことが重要です。地域の経済動向や不動産市場のトレンドを分析し、売却時期を適切に判断することが求められます。
不動産の売却には様々な手続きと費用が関わります。売却契約の手続き、不動産の査定や広告、売却手数料、税金などが必要になる場合があります。これらの費用や手続きについて事前に把握し、予算とスケジュールを計画する必要があります。
不動産の売却には時間がかかる場合があります。市場の需要や物件の特徴によって異なりますが、売却まで数ヶ月から数年以上かかる場合もあります。売却までの期間を見積もり、投資の計画に組み込む必要があります。
今回は、不動産投資における2つの収益形態、インカムゲインとキャピタルゲインについて見てきました。
それぞれにメリットとデメリットがあり、それぞれの資産状況やライフスタイルに合った運用が重要です。
単一の不動産に依存せず、複数の不動産を所有することで、リスクを分散し、収益の安定性を確保することができます。異なる地域や物件タイプの不動産を組み合わせることで、市場の変動や地域特有のリスクに対する耐性を高めることができます。
収益不動産ONLINE編集部
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