【吉崎誠二の不動産市況コラム】住民基本台帳人口移動報告から見る 首都圏の人口流入の状況
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【吉崎誠二の不動産市況コラム】住民基本台帳人口移動報告から見る
首都圏の人口流入の状況

人口の移動は、住宅需要、住宅価格、住宅賃料等に大きな影響があります。
その地域で人口が増えれば、当然ながら住宅需要が増え、逆に減少すれば需要が減り、それに伴い価格・賃料に変化が見られます。人口の増減は、出生数と死亡者数の差である自然増減と他地域からの移動による社会増減の2つの要因があります。ご承知のとおり、自然増減は全国ほとんどの地域で外国人を除けば減少が続いていますが、社会増減はプラスの地域もあればマイナスとなっている地域もあります。ここでは圏域別・都道府県別の社会増減の状況を鑑みながら住宅需要について考えてみます。

転入超過は7都府県のみ

総務省から2月3日に公表された「住民基本台帳に基づく人口移動報告 2025年(令和7年)」によれば、首都圏への人口流入が続いています。都道府県別に転入・転出の状況をみれば、転入超過(転入者-転出者がプラスになっている)は、多い順に東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府、千葉県、福岡県、滋賀県の7つの都府県だけでした。
最も多い東京都への転入超過数は6万5219人で、神奈川県2万8052人、埼玉県2万2427人、大阪府1万5667人、千葉県7836人、福岡県5136人、滋賀県353人となっています。他の40の道府県では転出超過となり、転出超過数が最も多かったのは広島県の9921人でした。 引き続き首都圏(=一都三県:総務省の本資料では東京圏と表記)への転入超過は続いています。東京都の転入超過は長く続いていますが、2024年と2025年を比べれば、転入超過数は2024年に比べて1万4066人減少しています。東京都の転入超過数の減少はコロナ禍期以来の4年ぶりです。その一方で神奈川県は1,089人増加しており、首都圏の人口吸引力は依然強いようですが、とくに東京の転入超過数減少の背景には、住宅価格が高騰していることが大きな理由と考えられます。

転入超過数の増減

転入超過の都府県は7つですが、そのうち転入超過数が増えている県は、埼玉県、神奈川県、福岡県の3県のみです。
先に述べたように、埼玉県や神奈川県が増えているのは、東京都区部の住宅価格、あるいは住宅賃料が上昇していることが要因だと思われます。
福岡県は九州各地や山口県からの人口流入が続いていることが要因と思われます。

3大都市圏でみれば、名古屋圏は転出超過が続く

3大都市圏全体では11万9581人の転入超過ですが、東京圏、大阪圏は転入超過ですが、名古屋圏は転出超過が続いています。
東京圏は引き続き10万人以上の転入超過が続いていますが、コロナ禍で転入超過数が減った以降は転入超過数が増えていました。しかし、25年は前年比で減少しています。住宅価格、住宅賃料の上昇が背景にあるのでしょう。大阪圏は、近年転出超過が続いていましたが、24年以降は転入超過となっています。
関西万博は終わりましたが、引き続きインバウンド観光客も多く、このあとはIR施設の開業も控え、関西主要都市は勢いを感じられ、地価上昇、不動産価格の上昇、また上昇幅も拡大が続いています。
逆に名古屋圏は、転出超過が続いており、過去7年は1万人以上の転出超過数となっています。人口だけでなく、名古屋圏では地価上昇していますが、上昇幅は縮小傾向にあり、三大都市圏の中ではやや脱落感が見えてきました。

どの年代が都道府県間の移動をするのか

5歳区切りで都道府県間の移動をする数をみれば、最も多いのは20~24歳で、約58万5千人、続いて25~29歳で約53万3千人、そして30~34歳で約31万4千人となっています。人数は多少変化するものの、この傾向は近年ほとんど変化がありません。
20代の移動が多いのは、主に就職が関係しているものと考えられ、30代前半は結婚等での移動が多いものと思われます。
とくに20代前半の移動のほとんどは就職に関するものと思われ、たいていの場合は賃貸住宅に住むことになります。20~24歳の都道府県間移動の数をみれば、2025年は2024年比で0.3%増えています。
また、20代後半から30代前半で多いと思われる、結婚等に伴う移動も増えていますが、これは近年大都市中心部の住宅価格が上昇していることから、周辺地域(例えば、東京から神奈川へ)への移動が増えていることが要因と思われます。

首都圏の賃貸住宅需要

首都圏への人口流入は、全国的に見ても都道府県間の人口移動の圧倒的多数を占めており、その多くは若年層であり、少なくとも移動時には賃貸住宅に住むことから、今後も首都圏における賃貸住宅需要は堅いものと思われます。

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不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)

社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディー・サイン不動産研究所 所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間30本を超える。
著書: 「データで読み解く賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

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