2019年02月14日(最終更新:2023年06月06日)
前々回、人口動態に関するデータの収集についてお伝えしました(不動産投資に役立つデータの入手方法(人口動態編))。
東京23区に関して言えば、今後しばらくは世帯数の増加が続き(または、全国平均程の減少はなく)、賃貸需要は先細りしないと考えられます。こういった社会動態に加えて、もう一つ賃貸需要を下支えするものがあります。
それは、日本人が古くから持つ「持ち家志向」の低下です。
今回は、日本人の住まいに対する考え方の変化についてデータをもとに見ていきたいと思います。
日本政府は戦後より、内需としての住宅投資に重きを置いてきました。税制優遇などによる住宅政策、そして、世の中に「夢のマイホーム」といった言葉が出回るようになることで、日本人の持ち家志向は強固なものになりました。
また、「結婚したら(子どもが出来たら)マイホーム」、「家を購入して一人前」などという価値観も一部日本人に浸透しているのではないでしょうか。
そんな、日本人の持ち家志向ですが、実は変わりつつあります。
これは総務省統計局のデータで、年齢別の持ち家比率を、1988年と2013年調査で比較したものです。住宅一次取得のメイン層である30代・40代の持ち家比率はここ25年で大きく低下しています。
例えば、30代後半の持ち家比率は、1988年には56.6%であったのが、2013年には、46.1%と大幅に減少しています。40代で見ても同じように10%近く減少しているのが分かります。
ちなみに同じ平成25年の調査において、東京23区の持ち家比率は全体で43%と非常に低い状態です。
持ち家志向の変化はアンケート結果からも見て取れます。以下は国土交通省が行ったアンケート調査の結果です。
さらに年齢別で見ると若年層の持ち家志向は各段に低いことが分かります。
このような持ち家志向の背景には、純粋に、「賃貸がいい」という思考と「賃貸にせざるを得ない」という若干マイナスな要素があります。
前者に関して言えば、最近は住まいに縛られず、自由に引っ越しをしたいと考える人が多いようです。国立社会保障・人口問題研究所の「2016年人口移動調査」によると、日本人の平均引っ越し回数は3.94回ですが、10回以上の経験がある人は全体の4.7%と20人に1人もいるようです。
また、最近の賃貸住宅は設備も整っており、好んで賃貸住宅を選ぶ人も増えて来ているようです。
一方で、持ち家率低下には、ネガティブな要因も考えられます。終身雇用制度が実質的には崩壊し、また、経済への不透明感からローンを払い続けることに不安を抱く人々が、負担の少ない賃貸住宅を選ぶという傾向にあります。
労働の形態も、ライフスタイルも実に多様化している中、その時々で判断し決めるというライフスタイルを実践する人たちが増えているようです。
持ち家志向が低下している背景に、2つの要素があるとお伝えしましたが、収益不動産のオーナーとしては、“ポジティブな理由で賃貸物件を選ぶ人”に“選ばれる物件”でありたいですね。立地がよく、設備も申し分なくて、見栄えもいい…こういった選ばれる物件は家賃も低下しにくいものです。
収益不動産ONLINE編集部
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