2018年07月02日(最終更新:2023年05月30日)
現在、日銀総裁は、黒田氏が2期目を迎えています。
黒田総裁は、2013年3月、総裁に就任して、インフレ2%目標、大胆な金融緩和政策を打ち出し、企業だけでなく、広く国民に積極的な投資、積極的な消費を促しました。
就任当時の不動産市況を振り返ってみると、リーマンショック、東日本大震災などの影響で冷え込んでいた市況がようやく2012年の秋ごろから上向きになりそうな兆しが出始めた頃でした。そんな中で金融緩和政策、低金利政策が導入されましたので、不動産投資、土地活用などを始める方々が増えました。
こうした政策導入以前も長期にわたって金利の基準となる公定歩合は、かなり低い水準をでしたが、そこからさらに突っ込んで、日銀が国債を大量購入することで金融機関による貸出金利を下げるなどといった大胆な策を行いました。
こうしたことが功を奏して、不動産価格は上昇し、そして経済状況は良くなりました。たいていの状況下では貸出金利(ローン金利)が低くなると、不動産市況はよくなります。
また、図にあるようにTOPIXも経済の好循環の象徴として株価上昇となります。株価の基本は、実績×期待ですので、事業収益が向上することに加えて、今後の期待値があがれば、株価は自然と上がります。
日銀の総裁は5年任期となっています。明治期に初代総裁が就任してから130年以上経っていますが、日銀総裁が再任続投される例は極めて珍しく(過去1度のみ、ちなみに期間をあけて2度目の就任は2例あり)今回の黒田総裁の再任続投は、かなり異例と言えます。
もちろん、政府政権与党の意向が強いと思いますが、「現在の好景気に水を差さない」というスタンスがはっきりと見えます。
そのため、当面は現状の金融緩和を続けると思われます。ですが、世界情勢により、こうした緩和策は変更を余儀なくされるかもしれません。
例えば、今年の1月に量的緩和を縮小させた欧州中央銀行が、来年にもしも利上げに傾くとすると、すでに利上げを数回にわたり行っている米連邦準備制度理事会(FRB)と足並みがそろうことになります。
その時に日本経済が現在のような好調が続いていたとすれば、日銀もまず金融緩和を縮小させ、その後、利上げを検討という金融正常化シナリオが動き出すかもしれません。
しかし、少なくとも今年の秋ごろまでは現在のような大胆な金融緩和策を続けるのではないかというのが大方の見方です。不動産投資、において気になる金利。
「もうそろそろ、金利が上がりそう」と心配する方もおられるかもしれませんが、現状から判断するともうしばらく先かもしれません。
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