2018年08月23日(最終更新:2023年05月31日)
賃貸用住宅経営においては、様々なリスクが想定されます。
投資を行ってリターンを得るわけですからリスクがあるのは当然ですが、そのリスクはできるだけ回避したいものです。いうまでもありませんがリスクのない投資はありません。
しかし、リスクを回避する(最小限にする)方法やお金を払ってリスクを買ってもらう、等の方法は存在します。
今回のコラムでは賃貸住宅投資のリスクについて、特に空室リスクについて考えてみましょう。
まず、賃貸住宅投資のリスクにはどんなものがあるかについて考えてみます。
主なリスクとして考えられるのは、空室、賃料の下落です。空室が続けば賃料の下落を招きますので、これらは連動していると言えます。
例えば、ワンルームマンション1室だけの投資を行っている場合、その部屋が空室になれば、賃料収入がゼロになります。所有する部屋数が少ない場合、空室リスクは収益を直撃します。
次に金利のリスクです。全額現金での購入の方(ほとんどいないと思いますが)や全期間固定金利の方は、この心配はありません。一般的に、固定金利は変動金利よりも利率が高いですが、これは「金利の変動リスクを買っている」とも言い換えられます。
そして、災害に関するリスクです。日本は地震・水害・暴風等の災害が多い地域です。これらに対応して、地震保険等の保険が用意されています。また、火災保険は、各部屋の賃借人が負担することが多いようです。これら保険を積極的に活用して、「リスクを損害保険会社に買ってもらう」といいでしょう。損害保険会社は、こうした「リスクを買う会社」といえます。
その他、いくつかのリスクが考えられますが、主要なリスクは「空室、賃料下落、金利、災害」の4つだと思います。
賃貸住宅投資において空室は一番気になるリスクです。
しかし、空室が実質的にゼロになることは避けられません。どんなに人気のある賃貸物件でも、入居者の入れ替わりがあるため何年かに一度、1か月弱程度は入退去に伴う空室期間が出ます。こうした仕方のない期間を除いて、できる限り空室期間を短くしたいものです。
リスクは一般的に(日本では)危険と訳されて理解されていますが、辞書等では「悪いことが起こる可能性があること」とされています。
「起こるかどうか分らないこと」ですので、どちらかといえば、不確実性という意味合いです。少なくとも、投資の世界では、リスク=不確実性と解されています。つまり、リスクを読み込むことで、その範囲内では、リスク織り込み済みとなります。
具体的には、賃貸用住宅を購入する前に30年~35年程度の収益シミュレーションを作成して、それに基づいて投資判断をされると思いますが、そのシミュレーションの中に、一定の空室確率を織り込んで作成すればいいと思います。
空室を予測して、その想定内の空室だとするとどんな利回りになるのか判断するとよいでしょう。
「空室リスクは、あらかじめ織り込んでおく」は賃貸住宅投資で重要なポイントです。
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