2022年09月07日(最終更新:2023年05月24日)
7月1日に国税庁から2022年(令和4年)度分の路線価が公表されました。令和4年度分の路線価は、全国平均で前年比0.5%プラス、2年ぶりの上昇となりました。
新型コロナウィルスの影響が徐々に落ち着きを見せ始めたようです。
そのため、2022年度分路線価では、大都市の居住地域を中心に回復傾向にあり、またマイナスの地点でも下げ幅が縮小するなどしています。ただし、新型コロナウィルス感染症拡大前の状態には、未だもう少しという状況です。
都道府県庁所在地の最高路線価地点を見ていきましょう。
都道府県別の最高路線価で最も上昇したのが、千葉県の「中央区富士見2丁目 千葉駅前大通り」で、前年比プラス5.1%でした。千葉駅前は再開発が進んでいるため、路線価が上昇したものと見られます。
一方で、大都市では下落が目立ちます。インバウンドでにぎわっていた観光地や繁華街などは、コロナウィルスの影響が残っており、東京の銀座通り、大阪市御堂筋や那覇の国際通りなどでは、依然として前年比でマイナスとなっています。ただ、下落率は縮小傾向にある状況です。
今回、最高路線価が上昇した都道府県庁所在都市は15都市で、令和3年(2021年)度分が8都市だったので、昨年よりも7都市増えました。また、下落は16都市(昨年22都市)と、下落した都市の数も減りました。この点からもコロナからの回復傾向を見ることが出来ます。
東京都の平均路線価は前年比プラス1.1%で、1年振りの上昇となりました。東京都の各税務署管轄内での最高路線価の上昇率を見ると、前年比でプラスのエリアが27(前年3)、下落が10エリア(前年30)なので、これまで述べてきた通り、新型コロナウィルスからの回復傾向が見られます。詳細に見ていきましょう。
注)目黒署は最高路線価の所在地を変更しました。令和3年分の対前年変動率は、変更後の所在地における変動率です。
注)江戸川北署の最高路線価の所在地は、令和2年分が市街地再開発事業の施行区域で路線価を定めていなかったため、令和3年分の「最高路線価の対前年変動率」欄は「-」となっています。
東京都の路線価は、二極化が進む結果となりました。各税務署管轄内での最高路線価の上昇率上位には、住宅地における駅前周辺地が目立ちます。一方で、下落したエリアは、繁華街やオフィスエリアとなっています。
気になる今後ですが、国内外を含めた観光需要が戻りつつあり、多少回復の兆しが見え始めているので、今年下落したエリアでも上昇に向かう可能性は十分にあります。また、リモートワークが定着することで、住宅地の中には更に上昇が期待できるエリアもありそうです。
路線価が上昇するということは、相続や贈与の際の土地評価額の上昇を意味します。言うまでもなく、不動産を相続するということは、土地も合わせて相続するということです。
不動産を所有していたり、不動産を相続したりする可能性がある方は、早い段階で節税対策を視野に入れて行動に移された方がいいでしょう。
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