2022年10月31日(最終更新:2023年05月24日)
22年分の基準地価が9月20日に公表されました。全国の全用途平均は3年振りの上昇、住宅地が31年振りの上昇となったほか、商業地は全国の調査地点のうち41%が上昇し、コロナショックを経て地価上昇が鮮明となってきました。
東京23区では、住宅地、商業地ともに2.2%の上昇となりました。
住宅地は23区全てで上昇しました。最高は中央区の+4.0%で、次いで新宿区+3.7%、中野区、豊島区(+3.3%)で、都心エリアでの上昇が目立ちました。実際、富裕層の需要が堅調な都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の平均は+3.1%で、その他の区の平均+2.1%より高い結果となりました。
商業地は、昨年はマイナスとなったエリアが9でしたが、2022年は0となりました。また、昨年と同様の傾向で、住宅地のイメージが強い杉並区(+3.8%)、北区(+3.7%)、中野区(+3.5%)、荒川区(+3.5)などで、商業地の変動率が高くなっています。一方で、都心5区は、依然として、低空飛行が続いています。
コロナ禍でインバウンドが減少した銀座エリアがある中央区は、国内客の回復で、下落から横ばいに転じています。
基準地価は、土地を売買するときの目安となる価格で、都道府県が不動産鑑定士の評価を踏まえて毎年7月1日時点の価格を調査し、国土交通省がとりまとめて毎年9月に公表します。地価と聞いて一番に「地価公示」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
地価公示は、毎年1月1日時点の価格が3月に公表されます。基準地価の場合、地方の山林なども含まれる場合がありますが、地価公示は市街地が中心となっているなど違いはありますが、1月1日時点の価格である地価公示から半年後の価格ということで、2つを比較することで価格の推移を掴みやすくなります。
下の表は、東京23区の中で、地価公示と基準地価で基準地点が共通している地点の変動率の平均を、区別に算出した結果です。共通地点なので、半年ごとの推移をより鮮明に表しているものとみることができます。
真ん中の列(b列)の色分けは、前半(a列)との差(b-a)が2.0以上で赤、1.0以上でオレンジ、0超で黄色、0(横ばい)は色なし、マイナスを水色で表しています。
中野区は住宅地で半年前から2.3ポイント、商業地で1.4ポイント地価が上昇しました。
住宅地と商業地で比較すると、今回の基準地価では商業地の方が、より半年前の地価公示からの上昇の度合いが色濃いが多いのが分かります。
コロナ禍からの回復という観点でいうと、住宅地の方がいち早く回復傾向にむかっていた経緯があり、地価公示で商業地でも回復の兆しが見えていたことより、半年後の今回基準地価で大きく伸びたエリアが増えてきたと言えそうです。
しかし、商業地がマイナスになっているエリア(大田区、世田谷区、板橋区、練馬区、葛飾区)も見られることから、コロナ禍からの回復“速度”には二極化が生じているようです。
収益不動産ONLINE編集部
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