2023年04月03日(最終更新:2023年06月15日)
2022年の東日本レインズの中古マンション取引状況から、成約状況を「需要」、新規登録状況を「供給」と見て、需要と供給それぞれの状況について考察していきましょう。
東日本レインズ「築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2022年)」より作成
成約物件と新規登録物件の平均築年数の推移を表したグラフです。
過去10年をみると、成約物件・新規登録物件ともに、築年数が上昇傾向にあり、成約では4.36年、新規登録物件では7.85年上昇しました。特に新規登録物件では、2018年頃からの上昇が目立っています。
2022年に成約した物件の平均築年数は23.33年、新規登録物件では28.16年と、前年に比べて「成約物件 ― 新規登録物件」の年数乖離幅が拡大しています。
2022年の成約物件の平均築年数は、23.33年でしたが、築年数が23.33年というと、だいたい1998年頃の物件と言えます。実は、この時期には首都圏では沢山の新築マンションが分譲されていました。
株式会社不動産経済研究所「全国マンション市場40年史」、「首都圏新築分譲マンション市場動向2022年」より作成
この時期は、バブルが崩壊し地価が下落し続ける中で、バブル期で郊外に移った需要が東京都内に戻ってきた頃です。
こうした中で、首都圏中心部でマンション需要が高まり、首都圏の新築マンション分譲戸数が8万戸や9万戸を超える年が続きました。
こうしたことから、ストック数の多い築21年~25年の物件が、結果的に中古マンション取引に占める割合が多いのでしょう。しかし、築年数の内訳で見るとそうとは言い切れないようです。
築年数別の割合を成約・新規登録物件別に、それぞれ見ていきましょう。
築31年以上物件は、括り自体が広いので、最も割合としては大きくなりますが、それを除いたとしても、築21年∼25年の層のシェアが大きいとは言えません。
また、先ほどみたような、近年の成約物件における築古化の背景には、新規登録物件における築31年超物件のシェア拡大が影響しています。
実際に、成約物件・新規登録物件ともに築31年以上の物件のシェアがこの10年で1.5〜2倍程に拡大していることが分かります。次は、築浅物件に目を向けてみましょう。
先ほど図表2で新築物件の分譲グラフを掲載しましたが、1973年以降に新築された分譲物件をそれぞれ築年数層別に分けたものと、2022年の首都圏中古マンション成約物件の築年数内訳を比較してみましょう。
これを見ると、実際にはストック割合が多いとされる築16年∼20年や築21~25年、築26年∼30年よりも、成約物件になると築15年以下の築浅物件の割合が多いのが分かります。
やはり、中古マンションで人気なのは築年数が少ない物件であると言えます。
次に、特に人気が高い築10年以内の築浅物件の成約と新規登録状況について見ていきましょう。
上のグラフは、成約・新規登録物件に占める築10年以内物件の割合を線グラフで示し、その差を棒グラフで示したものです。
2022年では成約物件のうち23.7%が築10年以内の物件でしたが、新規登録物件では15.2%しかなく「約6.6戸に1戸の割合」と、両者の間にはかなり差があるのが分かります。需要の高い築浅の中古マンションでは、需要と供給の差が年々広がっている状況が分かります。
収益不動産ONLINE編集部
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