2023年06月15日(最終更新:2023年06月23日)
この度、一般財団法人 日本不動産研究所より「不動産投資家調査」が発表されました。
この度発表されたデータでは、プロパティごと、地域ごとで異なる結果となりました。まずはプロパティ別で見ていきましょう。
まず、キャップレートについて復習しておきましょう。
キャップレートは、期待利回りのことを言い、「調査時点で、該当エリアで不動産投資を行う際、どのくらいの利回りを期待するか」を不動産投資の専門家にアンケート調査し、それをまとめたものです。
賃料は、もちろん経済状況や不動産市況の影響を多少は受けますが、短期間でそれほど大きな動きをしません。
そのため、キャップレートの低下は、賃料が一定とすれば一般的には価格上昇を意味します。また同じように、キャップレートが低下するということは、利回りがたとえ低くてもそのプロパティ、そのエリアに、投資をしたいということを示しています。
つまり、キャップレートは、「不動産投資への熱量」を数値化したものと言ってもいいかもしれません。
出典:一般財団法人 日本不動産研究所「不動産投資家調査」
上のグラフは、東京エリアのプロパティ別のキャップレート推移です。
今回(2023年4月調査)、キャップレートが減少したのは、賃貸住宅と商業施設でした。賃貸住宅は、ワンルーム、ファミリータイプともに下落し、調査開始以来、最も低い水準となっています。
賃貸住宅は、新型コロナウイルス感染拡大により、暫く横ばいで投資家の「様子見」の状況が見られましたが、2021年10月調査から、再び下落傾向になりました。
また、今回下落した商業施設ですが、コロナ禍後に上昇しその後、2年半の間横ばいが続いていましたが、今回の調査でコロナ禍前の水準に戻った状況です。
商業施設は、銀座地区(中央区の銀座中央通り沿い)の築年数5年未満の高級ブランド品小売業を想定しています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が緩和されたこと、秋以降の水際対策緩和による訪日外国人客の増加などにより、百貨店でも売り上げが好調で、売上連動型の賃料を採用することが多い商業施設での不動産投資も、安定した利回りが実現できる見込みが出てきたと言えます。
ただ、東京以外の他のエリアの商業施設ではまだまだ横ばいの状況が続いています。商業施設と同様の要因で、ホテルもコロナ後、キャップレートが上昇しましたが、前回調査でようやく下落しました。ただ、コロナ禍前の水準には未だ至っていません。
参考:一般財団法人 日本不動産研究所「第48回 不動産投資家調査 2023年4月現在」
次にエリア別に見ていきましょう。上のグラフは、コロナ禍前の2019年からの推移を比較しています。
賃貸住宅の利回りはどのエリアでも基本的にはコロナ禍の影響を大きく受けることなく低下しているのが分かります。
2019年4月時点から2023年4月現在のキャップレートの増減を比較するとどのエリアも0.4~0.6ポイント減少しています。最も下落が大きかったのは、千葉と広島の0.6ポイントでした。
地価公示も、地方都市での上昇率が高いですが、投資家は都市部だけではなく地方都市での賃貸住宅投資にも意欲的な姿勢を見せているのが分かります。
今後については、「新規投資を積極的に行う」という回答が96%で前回よりも1ポイント上昇しました。一方で、「当面、新規投資を控える」との回答はコロナ直後では18%でしたが、徐々にその割合は減少し、今回は前回調査より2ポイント減少し3%でした。
大規模な金融緩和継続を背景に、不動産投資の非常に積極的な投資姿勢が維持されています。
収益不動産ONLINE編集部
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