不動産コラム

不動産投資家はコロナショックをどのように捉えているのか

緊急事態宣言が解除されて1カ月が経とうとしています。自粛期間中は、営業活動がほとんどストップしたわけなので、不動産市況に何かしらの影響が出てくるのは必至と言えます。また今後は、経済状況を介した影響が不動産業界にも訪れると考えられます。それでは、プロの不動産投資家はどのように考えているのでしょうか?日本不動産研究所が半期に一度行っている「不動産投資家調査」より、先日発表されたばかりの2020年4月時点の結果をみていきましょう。
 

期待利回りが上がる=リスクが高まる

まず、期待利回りについて再確認しておきましょう。期待利回りとは、キャップレートともよばれ、投資家が不動産から期待する利益のことをいいます。例えば、「今後景気が悪くなりそうだから利回りが5%だったら投資してもいい。」や「このエリアは人気だから利回りが3%だとしても投資したい。」などといった、各投資家が期待する採算性に基づく利回りです。これをアンケートで集計した結果を指標としてシンクタンクなどが発表しています。ここで重要な考えは、利回りの高い不動産投資物件=リスクの高い物件であるということです。

つまり、期待利回りが上昇するということは、その分のリスクを負ってまで投資するということになります。期待利回りとリスクの関係性を認識した上で、早速「不動産投資家調査」をみていきましょう。
 

コロナショックからの不動産投資リスクが顕著に出たホテル

新型コロナウイルスが不動産投資家の考え方にどのような影響を与えているのか、それはプロパティごとに異なる結果となりました。
やはり影響が最も高かったのはホテルで、期待利回りは東京や大阪だけではなく、すべてのエリアで0.1~0.2ポイント上昇しました。

■宿泊特化型ホテル期待利回りの推移
 

 
(一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」より。以下同様)
インバウンドや観光色がより色濃い京都、大阪、那覇では0.2ポイントの上昇となっています。
 
■Aクラスビル(オフィスビル)の期待利回り
 

 
好調が続いているオフィスですが、2020年4月現在でも期待利回りが引き続き下落しているエリアもあります。

安定の「住宅」。賃貸住宅は横ばい

 
■賃貸住宅一棟(ワンルームタイプ)の期待利回り
 

 
横浜、千葉、大阪は前回比で0.1ポイント低下していますが、それ以外は横ばいとなっています。ここで注目したいのは、2008年9月に起きたリーマンショックですが、その後東京(城南)の期待利回りは一気に上昇しましたが、2010年10月調査からはまた下落傾向に戻っています。先ほどのホテルやオフィスと比較すると、賃貸住宅が早期に回復しているのが分かります。オフィスやホテルよりも、人々が生活していく上で欠かすことの出来ない「住宅」不動産は不況時でも安定しており、たとえ悪化しても長くは続かない状況が見えて来ました。
 

コロナによる市場へのネガティブな影響があるが約97%

今回の調査結果では特別項目として、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を問うアンケートの結果が掲載されています。
 
■今後1年間の市場動向を念頭に、新型コロナウイルスの感染拡大が各アセットに及ぼす影響について(有効回答129社)
 

 
プロの不動産投資家は、「新型コロナウイルスの感染拡大によって今後1年間の市場動向においてネガティブな影響があまりない(全くないも含めて)」と考えている割合が、物流施設で88.2%と最も高く、次いで住宅(ワンルーム等)では83.4%と高い割合でした。ここでも住宅は安定的であると評価されているようです。


     


収益不動産ONLINE編集部

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