2022年06月24日(最終更新:2023年06月12日)
2022年4月時点のキャップレートが、一般財団法人 日本不動産研究所より発表されました。
キャップレートは、「調査時点で、不動産投資を行う場合、どのくらいの利回りを期待するか」を不動産投資の専門家にアンケート調査し、それをまとめたもので、不動産投資を行う方にとっては重要な指標の一つと言えます。
このキャップレートは、還元利回りとも言われ、不動産の収益性を表した利率のことで、不動産価格を算出する時に用いられます。
具体的には、不動産価格=純収益(家賃収入-経費)÷キャップレートの計算式で、その不動産評価額が算出されます。
賃料が変わらないとすれば、数値が高ければ、リスクが高いと考えていると見られ、逆に低ければリスクが低いと投資家が判断していると言えます。また、このキャップレートが下落傾向にあると言うことは、不動産価格が上昇傾向にあるとも言えます。
それでは、キャップレートの長期推移を見てみましょう。
(一財)日本不動産研究所「不動産投資家調査」より作成。以下同様
賃貸住宅におけるキャップレートは、2008年頃までは下落が続いていましたが、リーマンショックで、一気に上昇しました。その後、更にリーマンショック前よりも低い水準にまで下落しています。
コロナショック直後の2020年4月と10月、2021年4月調査時点では、不動産投資家も様子見をしており、横ばいが続いていました。そして、前回の2021年10月調査時点では、ワンルーム・ファミリーともに下落し、今回の最新調査で、東京城南エリアでは、ファミリータイプが2期連続の下落、ワンルームは横ばいとなりました。
投資家が見た賃貸住宅市況は、コロナ禍においても、リーマンショック程の大きな下落は見られず、むしろ、投資家のポジティブな姿勢が見られます。
本調査では、特別アンケート調査として、不動産投資市場に係る今後の見通しについてのヒアリング結果も公表されています。
アンケート内容:不動産投資市場に係る今後の見通しについてご回答ください。
レジテンシャル投資については「ややポジティブ」と回答した割合が最も多く、2024年まではその状態が続きますが、2025年以降は判断できかねると考える人が多かったようです。
それではプロパティ別に「ポジティブ」と「ややポジティブ」を考えた割合の合計を、各年で見てみましょう。
「物流施設」と「レジデンシャル」に対しては、ポジティブに考えている割合が高いのが分かります。一方、コロナ禍で大きく影響を受けた「オフィス」と「ホテル」ですが、徐々に回復してくると予想していますが、その割合は「物流施設」や「レジデンシャル」にはまだ及んでいないのが分かります。
以上、今回の調査結果からは、人々の生活に直接かかわる「レジデンシャル」に関してはコロナ禍で大きな影響を受けることはなく、むしろ堅調で、かつ、現時点では今後もネガティブな要素が少ないと不動産投資家が判断しているようです。
収益不動産ONLINE編集部
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