不動産投資に関するリスク「想定外」を織り込む! 空室率に関する3つのデータ
不動産コラム

不動産投資に関するリスク「想定外」を織り込む! 空室率に関する3つのデータ

3つの空室率データとサブリース契約の構図

収益不動産へ投資を行う際には、リターンに目が行きがちです。しかし、不動産投資にはリスクがつきものですから、リスクを読み込んで、対処しておくことが重要になります。

不動産投資とリスク

住宅系の収益不動産の場合の主なリスクは6つ(空室、家賃下落、金利、災害、管理、修繕)あります。

投資におけるリスクとは、「危険な事」というよりも、「想定外の事」の意味合いの方が強いイメージです。逆に言えば、読めること(想定できること)に関しては、

①収益シュミレーションなどでリスクを織り込んでおく
②保険などをかけてお金でリスクを回避する

の対応を行えばよいという事になります。

先に述べた6つの中で最も気になるのが空室に関することです。ですから、空室に関しては投資する前にしっかりと情報収集することが求められます。

空室率に関するデータは、いくつかありますが、サイトなどで簡単に入手でき、かつメディア等でもよく採用されているデータは以下の3種類です。

空室率に関する3つのデータ

総務省統計局「住宅・土地統計調査報告」

まずは、公的なデータである、総務省統計局「住宅・土地統計調査報告」です。

この調査は5年に一度行われています。住宅や土地に関する調査の中で最も幅広く行われている、スタンダードな調査データです。全国・市区町村単位での調査なので、かなり詳細なデータを知ることができますが、いかんせん5年に1度ですので、使用する場合によっては「古い」ということもありえます。

最近の調査年は、2008年~2013年~2018年(平成30年)でした。そして、発表は翌年です。つまり、今年はこのデータの発表の年になります。調査の時点は、その年の10月1日、今回の調査は1948年の第一回目から数えて15回目です。速報値は、だいたい7月末ごろに発表されます。

タス空室インデックス(空室率TVI)

2つ目は、株式会社タスが発表している、「タス空室インデックス(空室率TVI)」です。

タス社が、独自に調査集計して発表しているデータで、毎月一回のペースです。月イチという事で、速報性が高いデータと言えます。

このデータは、メディア等が「空室率が高いよ!」と伝える時によく使われるデータです。一般的な感覚の空室率(空室戸数÷物件総戸数)とは少々異なるので、注意が必要です。

具体的には、このデータは、「募集物件の空室を示す指数」ですので、募集物件の空室傾向を示す指数です。つまり、満室稼働しており、募集していない物件は分母から外れて計算されます。(このデータを採用している日銀もこのことに注釈をつけて、注意喚起しています)。

「純粋な空室率ではない」と言えますので、注意が必要です。

賃貸住宅市場景況感調査=「日管協短観」

3つめは、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会が公表している、賃貸住宅市場景況感調査=「日管協短観」です。

データの公表ペースは、半期に一度ですので、1つめの総務省統計局「住宅・土地統計調査報告」に比べて、短いスパンで発表されますので、使用しやすいデータと言えます。

この、「日管協短観」は、首都圏、関西圏を中心とした不動産管理会社に対して行った調査で、管理会社が管理する戸数をもとに算出しています。賃貸住宅の景況感を調査したものです。調査は、空室に関することだけでなく、来客数、成約件数、成約賃料の他、様々な市場動向を調査・分析しています。

この業界団体に加盟していない企業のデータは、含まれていませんので、全国津々浦々を網羅しているとは言えませんが、都市部における実際の空室率の景況感は、最も掴むことができるデータだと思います。

サブリース契約の構図

冒頭に述べたように不動産投資にはリスクがあり、そのリスクの中には、お金を支払うことで回避できるもの(②)があると述べました。

サブリース契約は、その契約期間中にお金を払って空室のリスクと家賃の下落リスクを回避している、という事になります。

「日管協短観」によると、近年のサブリース契約物件の入居率は概ね93~96%になっているようです。

地域別 サブリースの入居率推移

サブリース契約は家賃総額の10%前後の手数料(業者やエリア等により異なる)を払っていますので、サブリース契約を行う企業は、この差の中で、経費を賄い、利益を上げているという構図になります。

不動産投資に関するリスク「想定外」を織り込む! 空室率に関する3つのデータ
不動産投資に関するリスク「想定外」を織り込む! 空室率に関する3つのデータ
目次1 3つの空室率データとサブリース契約の構図2 不動産投資とリスク3 空室率に関する3つのデータ4 サブリース契約の構図 3つの空室率データとサブリース契約の構図 収益不動産へ投資を行う際には、リ...

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