2021年06月29日(最終更新:2023年06月14日)
昨今、メディア等で「ウッドショック」というワードを見聞きすることが増えてきました。
ウッドショックとは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い在宅需要が伸びたアメリカで住宅着工件数が急増し、世界的に木材価格の高騰が続いていることを言います。さらに、日本国内でも、輸入木材の供給不足に端を発し、国産材を含む建築用材の供給が不安定になって価格が高騰している状態となっています。
大手ハウスメーカーなどは木造系住宅の値上げに踏み切り、また、2021年4~9月の戸建て着工数は数万戸減る可能性もあるとも言われているなど、今後、住宅市況にも影響が出て来そうです。
出典:国土交通省
上記は、建設工事費デフレーター(木造住宅)の推移です。
建設工事費デフレーターとは、「建設工事に係る名目工事費を基準年度の実質額に変換する目的で、毎月作成、公表しているものである。
建設工事費デフレーターは、国内の建設工事全般を対象としている。建設工事の多くは、現地一品生産という特性のため、一般の製品の物価のように市場価格の動きでは直接的にとらえることができない。そのため、建設工事費を構成する労務費や個々の資材費の価格指数をそれぞれの構成比(ウエイト)をもって総合する投入コスト型で算出する手法をとっている」(国土交通省HP)
木造住宅の価格は確かに上昇を続けています。実際に価格としてはどれくらい上昇しているのでしょうか?
2021年3月の建設工事費デフレーターは、「113.6」でした。建設デフレーターは2011年基準となっているので、例えば、2011年時点で2000万円、当時の5%の消費税を含めると2100万円の家が、2021年3月では10%の消費税込みで2499.2万円と、単純な計算ではありますが、税込み価格で2011年から約500万円も上昇しています。
出典:国土交通省
最後に、建築費と住宅価格についてみてみましょう。グラフは、建築工事費デフレーターと不動産価格指数の前年同月比の推移です。
不動産価格指数は、実際の取引価格情報をもとに国土交通省が発表しているデータです。両数値の相関係数を算出すると、0.52と中程度の相関関係がありました。建設費というと新築住宅にダイレクトに影響を与えるイメージですが、不動産価格全体にも影響を与えているのが分かります。
不動産価格は利回りにも関係してくるので、今後とも、建築工事費デフレーターには注目していくべきだと言えます。
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