2022年09月27日(最終更新:2023年06月15日)
株式会社不動産経済研究所より「首都圏投資用マンション市場動向」が発表されました。
これによると2021年で発売された首都圏の投資用マンションは、130物件、6,028戸でした。2020年が140物件、6,260戸でしたので、発売物件、戸数ともに減少となりました。
引用:不動産経済研究所「首都圏投資用マンション市場動向」 以下同様
首都圏の投資用マンションは、「もたざる経営」が叫ばれて企業による土地放出が盛んに行われた1990年代後半から2000年代半ばにかけて新規供給量が増えました。
しかし、ミニバブル期の地価高騰やリーマンショック等により2008年以降一気に供給量が減少しますが、その後は回復し、6,000戸台をキープしている状況です。
上のグラフは、先ほどの1988年以降の首都圏投資用マンション供給戸数の累計戸数をストック数として、各年におけるストック数に対する築10年以内の物件数の割合を表したものです。
2000年代初頭から半ばまで投資用マンションの供給量が増えたことで築10年以内の物件は6割近くありましたが、それ以降は減少傾向にあり、近年は3割程度になっています。
次に価格について見ていきましょう。
首都圏の投資用マンションは、地価の高騰や投資用マンションブームを背景に、㎡単価が上昇傾向にありました。しかし、2021年は前年比2.7%マイナスで、5年振りのマイナスとなっています。
次に、エリア別に見ていきましょう。2021年に供給が行われたエリアは、全部で32エリアでした。
中でも最も多かったのが、江東区で供給戸数は698戸、次いで墨田区が430戸、横浜市南区380戸、川崎市中原区376戸と神奈川県が2エリアランクインし、5位が品川区の297戸でした。ちなみに、この5エリアだけで、首都圏全体の2021年の供給戸数のうち、36.2%を占めています。
この上位5エリアの変遷を見てみましょう。
2009年からの集計で、2012年以外、全て江東区が5位以内にランクインしています。そして、この江東区を筆頭に、墨田区や台東区など近年では城南エリアでの投資用マンション開発が進んでいます。
一方で、以前は大田区が供給戸数トップを独占していましたが、2015年以降はトップの座を受け渡し、2017年に一度供給戸数1位に返り咲いたこともありますが、近年は大田区、そして、城南エリアからのランクインも数が減っている状況です。
また、近年、渋谷区、新宿区、中央区、港区、千代田区などの都心5区においてのランクインが新宿区のみで都心での投資用マンションの供給が乏しい状況です。
そこで、近年数が増えてきているのは神奈川エリアで、横浜市や川崎市での投資用マンション開発が進んでいるようです。
先ほど、2021年の投資用マンション価格が下落したとお伝えしましたが、都心よりも比較的地価の低い神奈川エリアでの開発が多かったことが、平均価格下落の圧力となったと考えられます。
首都圏の投資用マンションは、東京都心部などでは、開発各社で用地取得競争が進んでいるため、今後も引き続き城東や神奈川県エリアでの投資用マンションが増えて行くものと見られます。
収益不動産ONLINE編集部
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