【投資の極意 第64回】インフレと不動産②インフレに強い資産
不動産コラム

【投資の極意 第64回】インフレと不動産②インフレに強い資産

前回のコラム(インフレと不動産① 現在の日本の状況は?)では、「インフレとは何か?」についてお伝えしました。今回は、「不動産投資がインフレに強い理由」を、他の資産と比較しながら詳細に見ていきたいと思います。

さまざまな金融商品とインフレ

インフレとは、モノの価値が上がっていくことにより、お金の価値が下がる状況のことをいいます。例えば、現金を預金という形のままで保有していると、資産が目減りすることになります。そこで、重要となってくることは、「インフレヘッジをすること、インフレにより資産目減りを回避する」ことです。インフレヘッジとは、現金などのインフレに弱い資産から、インフレによって価格が上がりそうな資産に、資産を換えることを言います。

インフレになった時に価値が上がる傾向にある資産の代表的なものとして、株式や金、不動産などがあります。それぞれ細かく見ていきましょう。

インフレと株式

インフレと株式の関係性を、企業側から考えてみましょう。インフレ状況にある時、企業はモノやサービスの価格を上げることで、売上が上がります。売り上げに応じて収益性が伸びれば、社員の賃金を上げることができます。そうなれば、消費者は、インフレによる価格上昇分を給料アップで補えるため、よりモノやサービスを買うようになります。すると、更に企業は商品が売れる、というサイクルにより、好循環が生まれます。

TOPIXとコアCPI(前年同月比)の推移

TOPIXとコアCPI(前年同月比)の推移

出典:総務省統計局、東京証券取引所

上のグラフは、物価の動向調査であるコアCPI(消費者物価指数 生鮮食品を除く総合)の前年比の推移と、株価指標の一つであるTOPIXの推移です。これを見るとあまり関係性は見られません。実際に、同期間で相関係数を算出すると、0.45と中程度の相関関係となりました。

当然ですが、すべての企業がインフレ状況下で株価が上昇するかといえば、そんなことはありません。全体的には緩やかな相関関係にあると言えます。

インフレと金

金や銀などの貴金属は、貨幣の価値が下がってもそれ自体の価値が下がりにくいため、インフレに強いとされる資産です。金は有限の資源であることに価値があるといえます。貨幣の価値が下落したときに「金そのものの価値」への信用から金の需要が高まり、金の価格が上昇する傾向にあります。

金(東京)の価格とコアCPI(前年同月比)の推移

金(東京)の価格とコアCPI(前年同月比)の推移

出典:金価格「田中貴金属工業 月平均小売価格」

この二つの推移の相関係数は、0.60と中程度の相関関係が見られます。

インフレと不動産投資

不動産投資もインフレヘッジの手法の一つです。ただ、これまでご紹介した株式や金と異なる点として、不動産は値上がり益(キャピタルゲイン)だけでなく、入居者からの毎月の家賃収入で継続的な収益(インカムゲイン)を得ることも期待できます。つまり、インフレになると、不動産価格だけでなく、賃料の上昇も期待できます。

消費者物価指数(民営家賃)とコアCPI前年同月比の推移

消費者物価指数(民営家賃)とコアCPI前年同月比の推移

上のグラフは、物価変動を示すコアCPIと同じ消費者物価指数から「民営家賃」の推移をあらわしたものです。両者の相関係数は0.79とかなり高い相関関係を示しています。インフレになると、家賃も上昇傾向になるということがデータからも明らかです。

また、金融機関からローンを借りて不動産投資をする場合が多いですが、インフレになると借入金の価値も目減りすることになります。インフレで相対的にお金の価値が下がっていれば実質的な負担感も下がることになります。ただ、変動金利でローンを借り入れている場合は、金利上昇によって返済額が増加してしまうリスクがある点には注意が必要です。

まとめ

ここまでインフレと不動産投資についてみてきました。インフレ期における不動産投資では、不動産価格と賃料が上昇傾向になる可能性があると言えます。そのため、不動産投資がインフレ対策に強いと言われているわけです。現在、日本は長きに亘るデフレ期を抜け出そうとしています。今後は、現金の所有だけでは価値が下がってしまい資産が目減りしていきます。インフレの特性を活かして、有利に運用できる不動産投資が、今こそ有効であると言えそうです。

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