2019年04月25日(最終更新:2023年06月06日)
国土交通省は3月19日、平成31年の地価公示を発表しました。
地価変動率は、全用途平均で+1.2%と、2年連続での上昇。住宅地は0.6%上昇で2年連続、商業地は2.8%上昇で4年連続の上昇となりました。
圏域別で見ると、三大都市圏では全用途平均が2.0%上昇、地方圏は全用途平均が0.4%上昇と、27年ぶりに上昇しました。
地方圏の住宅地は0.2%上昇となり、こちらも27年ぶりの上昇。商業地は1.0%上昇で2年連続の上昇でした。特に商業地では、4つの地方中枢都市(札幌、仙台、広島、福岡)を除いた地域でも平成5年以降続いていた下落から横ばいとなり、地価の回復傾向が地方圏にも広がってきました。
今回は東京23区の住宅地地価について詳しく見ていきたいと思います。
やはり、最も高いのは千代田区で、㎡当たりが268万円と23区平均の4倍以上になっています。次に変動率で見てみましょう。
価格でトップだった千代田区が2.9%と最下位になっており、ここまで地価の高騰が続いていましたが若干鈍化している傾向になっています。
「地価上昇」というと、マスコミなどの報道では「景気回復」などのポジティブなイメージと結び付けられることが多いですが、不動産投資に関して言えば、喜んでばかりいられないという側面もあります。
投資用不動産購入希望者にとっては公示地価の上昇は、つまり不動産価格の上昇に繋がります。
データでも見ると関係性は明らかです。相関係数は0.67ですので、やはり地価は住宅価格に少なからず影響を及ぼすのが分かります。逆に、売却を検討している人にとっては、不動産価格が上がります。
一方、保有者にとっては、路線価・固定資産税評価額の上昇によって支払う税金の金額も増えてしまいます。
相続税評価額を決める路線価は、地価公示の約80%を目安に設定され、固定資産税や都市計画税の根拠となる固定資産税評価額は地価公示の約70%で設定されます。地価公示が上昇することで、その分維持コストは増えてしまいます。
ただ、保有する物件の価値が上がることは、担保価値の向上につながるため、融資枠が拡大することで新たな物件購入に繋げられる可能性が増える場合もあります。
収益不動産においての土地と建物の配分をどうするかについては、税理士コラムで詳しく伝えていますので、そちらを参考になさって下さい。
参考:【不動産の税金_2】売買総額の土地と建物の割り振りについて
いずれにせよ、いい物件との出会いは地価推移と関係なく訪れるものです。地価のトレンドばかりを重視して物件を逃すということがないようにしたいものです。
地価公示の推移はあくまでも不動産トレンドの把握として捉えておくようにした方がいいでしょう。
収益不動産ONLINE編集部
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