2020年11月11日(最終更新:2023年06月08日)
新型コロナウイルスの影響が直接的だった4月、5月は大幅に成約件数が減少しました。その後徐々に前年水準にまで回復しており、8月は前年比18.2%のプラスとなりました。一転、その後9月は、-7.3%と減少に転じました。
ただ、7~9月期でみると、首都圏中古マンション成約件数は9,537件(前年同期比1.4%増)と、4期ぶりに前年同期を上回り、また7~9月期としては、1990年5月の同機構発足以降過去最高となりました。
成約件数が前年水準にまで回復している一方で、新規登録件数と在庫件数が減少しています。2020年1月に47,624件あった中古マンション在庫が、9月には41,137件にまで減少しています。
42,000件を下回ったのは、2016年7月以来の4年2か月振りで、8月、9月では前月比がそれぞれ3.7%マイナスと、急激に減少しているのが分かります。
一方で、新規登録物件も減少傾向にあります。新規登録物件に関しては、季節的な要因が表れやすいので、12カ月移動平均で算出した季節調整済みの物件数で長期推移を見てみましょう。
新規登録物件数も減少傾向にあるのが分かります。新型コロナウィルスによる影響で、先行きが不透明な中、売却に慎重になる売り手が多いようです。そのため、在庫物件が減少傾向にあるわけですが、在庫が減少するということはつまり、供給量が少なくなるということを意味します。
不動産価格は、一般的に「モノ」の値段と同じように需要と供給によって価格が決まります(P)。在庫が減少すると(S→S1)、価格は上昇(P→P1)します。
先に見た通り、成約件数は前年水準にまで戻ってきているので、一定数の需要があります。このまま在庫が減少して行けば、価格が上昇することも考えられそうです。
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