不動産コラム

新型コロナウイルスの影響による所得悪化で手に届きにくくなる首都圏のマンション。賃貸住宅需要が伸びる可能性も

一度落ち着いたかと思われた新型コロナウイルスですが、このところは感染の終息の目途が立たず、企業の業績回復の遅れや一部企業において雇用調整や所得の悪化などと言った報道がされています。
 このような混沌とした状況下ですが、現状の経済環境と不動産市況について見ていきましょう。

コロナショックで悪化する所得環境

      ■有効求人倍率(全国・東京都)※季節調整済
       (倍)

      (厚生労働省職業安定局『一般職業紹介状況』より作成)

 有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示すものです。リーマンショックで大きく下落しましたが、それ以降は順調に上昇していましたが、今年に入ってから急激に下落しているのが分かります。

 また、冬のボーナスでも大手航空会社や旅行会社で支給なし、飲食業界では5割~7割カットなどというニュースもありますが、実際に多くの業界で大きく影響が出ているようです。

マンションが買いにくくなっている?

 先日株式会社東京カンテイより、2019年の新築・中古マンション年収倍率が発表されました。年収倍率とは、新築マンション価格とその年において築10年の中古マンション価格(それぞれ70㎡換算)を平均年収(年収は内閣府「県民経済計算年報」を基に予測値を算出)で除し、マンション価格が年収の何倍に相当するかを算出したものです。年収倍率が低いほどマンションは買いやすく、反対に数値が高いほど買いにくいことを示しています。
 なお、今回発表されたのは2019年の最新データなので、コロナショックを反映しているものではない点に注意が必要です。
 
      ■新築マンション年収倍率(全国・東京都)
       (倍)

                                          株式会社東京カンテイ
 

      ■中古マンション年収倍率(全国・東京都)
       (倍)

                                          株式会社東京カンテイ
 
 新築は、全国で8.19倍と前年の8.09倍よりも0.1ポイント上昇しました。東京都は13.26倍と前年とほぼ横ばいとなっています。中古マンションに関しても、全国で5.52倍で上昇、東京都も10.96倍と前年より0.47ポイント拡大しています。
 ところで、「年収倍率」というワードは、住宅ローンの融資の際にも使われます。住宅ローンと借りる際、返済能力を測る指標のひとつとして、総借入額が年収の何倍になるかというものです。「いくら借りることが出来るか」という意味です。この融資における年収倍率の目安は7?8倍が限度と言われています。この基準と照らし合わせても、東京都の新築、中古マンションの価格水準がかなり高くなっているのが分かります。
 

マンション価格の上昇とコロナショック

 今回の年収倍率の数字はコロナショックの影響前の状況です。よって、前述の通り所得環境の悪化を考えると、現在はマンションなどの住宅がより買いづらくなる可能性も考えられます。不動産投資をする側の観点から考えると、消費者が自用の住居を買いづらくなってくるということは、賃貸住宅需要の上昇に繋がることも期待できるのではないでしょうか?


     


収益不動産ONLINE編集部

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