2021年03月04日(最終更新:2023年06月14日)
(財)東日本不動産流通機構が発表した2021年1月「首都圏不動産流通市場動向」によると、1月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年を大きく上回るプラス29.9%、3,480件でした。1月としては、1990年5月の機構発足以来過去最高となりました。
都県別では、東京都1,775件(前年同月比26.2%増)、埼玉県408件(同26.7%増)、千葉県417件(同38.5%増)、神奈川県880件(同35.4%増)と各エリアで大幅に増え、いずれも1月としては過去最高を記録しています。
(東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成)
「2021年の1月が、どの程度成約件数が多かったか」を、これまでの平均と比較してみたいと思います。ただ、2020年はコロナ禍特有の動きがありましたので、住宅・不動産総合研究所にて遡及可能なデータ2009年から2019年までの月ごとの平均(青色棒グラフ)、2020年(緑色棒グラフ)、そして、2021年1月(赤色棒グラフ)で比較してみましょう。
1年を通して最も成約件数が少ないのは、8月、次いで、1月、12月となっています。例年8月は少なくなるのですが、8月にはお盆休みがあり、営業活動や決済活動が出来ない状況にあるからでしょう。また、1月と12月についても同様に、年末年始の長期休暇が影響しているものと思われます。そういった1月ならではの特徴とは打って変わって、2021年1月は突出して契約件数が増えているのが分かります。
コロナ禍にあっても、主な購入層の経済余力は減少しておらず、むしろ「住まい」に対する考え方が変わりつつあることで、住み替えや住宅購入の検討を積極的に推進する購入者が増えているようです。その流れが起こり始めていると想定すると、2月3月は更なる成約件数の増加が見込まれます。
次に価格に注目してみましょう。1㎡当たりの成約単価は前年同月比2.3%プラスで57万5,700円、平均成約価格は3,772万円(前年同月比2.7%上昇)。成約単価は9ヵ月連続、成約価格は8ヵ月連続の上昇となりました。
この価格上昇には、首都圏中古マンションの在庫状況【不動産市況17】でお伝えしたように、供給量の減少にも大きく起因しています。
2021年1月の新規登録件数は1万3,480件で、17ヵ月連続、在庫件数は3万7,054件と14ヵ月連続の減少と、供給量の減少も目立ちます。
在庫件数が急落しています。先ほどの成約件数でも、通常、2月3月は需要が拡大する傾向にあります。1月も特に新規登録件数が増えなかったことを考えると、益々需要過多の傾向に入ると考えられ、こちらも成約㎡単価の上昇が考えられます。
社団法人 住宅・不動産総合研究所
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