
2026年02月06日(最終更新:2026年02月06日)
2025年の日本の不動産市況は、金利上昇や建築コストの上昇といった懸念材料がある中でも、引き続き中古マンション価格の上昇が高止まりする状況の1年となりました。ニュースや関連記事でもマンション価格の高騰が取り上げられ、注目が集まり続けました。
今回は、東日本レインズが公表する不動産流通動向データをもとに、2025年の中古マンション市場の動きを振り返ります。レインズは東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4つの公益財団法人によって運営されており、マンションや戸建て、土地などの販売物件情報に加えて、売買成約情報が集積されています。そのため、レインズのデータは、成約ベースで市場動向を把握できる数少ない統計データとして活用されています。今回は首都圏の中古マンション市場に着目し、データを読み解いていきます。
・成約件数と前年比

(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」より作成)
・㎡単価と前年比

(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」より作成)
・成約価格と前年比

(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」より作成)
2025年の首都圏中古マンション市況は、全体的に上向き傾向となりました。上のグラフは、成約件数、㎡単価、成約価格の直近5年間の推移と前年比を表したものです。成約件数は49,114件(前年比+31.9%)で大幅増加となりました。大幅増加となったのは、成約件数そのものが増えたことよりも、レインズが物件の取引状況の登録・入力を促進したことが大きな要因と思われます。ただ、それを除いても月別に見れば首都圏全ての都県で前年比がプラスとなる月が多いようで、成約件数は堅調に推移していると見ることができます。また、㎡単価は13年連続の上昇で、82.98万円(前年比+7.9%)、成約物件価格も同様に13年連続で上昇しており5,200万円となりました。このように首都圏全体で見ると価格上昇していますが、実は都県・地域別に見るとそれぞればらつきが見られます。首都圏都心部では㎡単価や成約物件価格が前年よりも10%以上上昇しており、価格水準が高い中でも取引される傾向は今後も続いていくと考えられます。一方で、都心部を除いた首都圏では、㎡単価や成約価格は都心部ほどの上昇は見られず、埼玉県や千葉県、神奈川県では調整の動きも見られました。そのため、購入・売却の際は、立地条件の選別がこれまで以上に重要となってくるでしょう。
続いて、新規登録件数や在庫件数の動きはどのように推移していたのでしょうか。以下のグラフは中古マンションの新規登録件数と在庫件数の月ごとの推移を表したものです。

(公益財団法人東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成)
このグラフを見ると、新規登録件数と在庫件数に関しては大きな増減は見られず、おおむね横ばいで推移していることが分かります。2025年の新規登録総件数は185,762件で、前年比-2.7%と減少しました。「供給」を表す新規登録件数が減少している点は、市場の需給関係を考える上で注目すべき動きといえます。この傾向が続いた場合、需要と供給の差は徐々に拡大していく可能性も考えられ、在庫が品薄になっていくと条件に優れた物件はより高値で取引されることが想定できるでしょう。
今回は2025年の中古マンション市場の流通動向について解説しました。物件供給が限定的な状況が続く中、2026年は金利動向にも着目しながら、エリアや物件特性を見極め取引していくことがこれまで以上に重要になってくるでしょう。


不動産エコノミスト 吉崎 誠二(よしざき せいじ)
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディー・サイン不動産研究所 所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間30本を超える。
著書: 「データで読み解く賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。