2019年10月31日(最終更新:2023年06月08日)
総務省は先月末に「H30年住宅・土地統計調査」の詳細結果を公表しました。
5年に1度の本調査では、住宅や世帯に対する様々なデータが集計されています。今回は、持ち家比率についてみて行きましょう。
住宅・土地統計調査では「住宅の所有の関係」という分類があり、「持ち家」か「貸家」かに分けられています。「持ち家」の数を「総数」で割ることで「持ち家比率」、つまりどれくらいの人が持ち家に住んでいるかが分かるというわけです。
まずは全国の持ち家比率の推移を見て行きましょう。
全国で見ると、持ち家比率は大きな変動はなく、60%前後を行き来するような状況です。ただ、細かく見ていくと水面下では様々な変化が起きています。
こちらは都道府県別に持ち家比率を比較したものです。
持ち家比率が最も高いのは、秋田県で77.3%、次いで富山県が76.8%、そして山形県・福井県がともに74.9%となっています。日本海側で持ち家比率が高い傾向があるようです。
ただ、これらのエリア含めて持ち家比率が比較的高い都道府県においては、昨今、持ち家比率の低下が顕著です。
上のグラフは、都道府県ごとに1998年調査と今回調査の持ち家比率を比較したものです。
先ほどとは逆に東京都、神奈川県、千葉県、大阪府、兵庫県、奈良県などの関東圏、近畿圏においては、持ち家比率が20年で3%以上も上昇しています。都市部にも「持ち家」や「永住」というイメージが定着してきたというわけでしょう。
最後に年代別の持ち家比率を過去30年遡って見て行きましょう。
年代別で見ると、20代、30代、40代、50代ときれいに右肩下がりになっているのが分かります。一方で、60歳以上の持ち家比率は80%台をキープしていますが、高齢者の数自体が増えているということもあので、冒頭で見たように全体としての持ち家比率にあまり変動がない要因となっていると考えられます。
また、とりわけ若い世代での持ち家比率が下落しており、30年前に比べると各世代10ポイント以上は下落しています。将来の見通しがつかない不安定さ、低収入といったネガティブな要因も考えられますが、中には「縛られない生き方を好む人」が増えているという点も背景にはあるのでしょう。
昨今は、ハイグレードな賃貸住宅も増えています。
持ち家比率はそのエリア独特の「持ち家」に対する考え方を示しています。もちろん、供給量との兼ね合いもあるので、一概には言えませんが、賃貸需要を見る一つの指標であることには変わりがないでしょう。
収益不動産ONLINE編集部
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