2021年04月13日(最終更新:2023年06月14日)
国土交通省が3月23日に発表した公示地価(1月1日現在)は、都内全域の住宅地、商業地、工業地を合わせた対前年平均変動率はマイナス1.0%となり、8年ぶりに下落しました。
新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞や観光客の減少などが影響し、約76%にあたる1973地点でマイナスになりました。東京都23区の地価公示について深堀してみましょう。
東京23区の商業地地価上昇率が最も高かったのは、JR阿佐ケ谷駅近くの杉並区阿佐谷北で、調査地点は商店街の中に位置します。前年比5.2%と他と比べても大きく上昇しています。このエリアは特に、目立った再開発などはないものの、新型コロナウイルスの影響で、巣ごもり需要が増えたため、住宅地の近くにある商業地としての価値が上がったと言えるのかもしれません。
また、2位の足立区千住2丁目は昨年、北千住駅から徒歩3分の位置に地上30階建てのタワーマンションが出来たことが地価上昇の要因の一つと言えそうです。北千住駅付近は、次に出てくる住宅地の上昇率でも上位にランクインしており、底堅い需要があることが、今回の結果でも鮮明になりました。
地点別に見ると、港区の赤坂や南麻布などの3A以外にも、足立区の綾瀬駅近くや北千住駅付近などが上昇しました。
商業地も住宅地も、昨年までかなり高水準で上昇していましたが、コロナも重なり、その成長が鈍化した状況と言えます。また、あまりに都心の地価が高額になったので、周辺へ需要が移りつつあるとも考えられます。
ここで、数値で見てみましょう。下の23区の色分けは、相関係数の数値を表しています。相関係数とは2つの変数の間にある関係の強弱を測る指標で、相関係数が正のとき変数には正の相関が、負のとき変数には負の相関があるといいます。
また相関係数が0のときは無相関で、逆に1に近づく程関係性が強いと言えます(-1に近ければ近い程、負の相関性が強い)。ここでは、都心5区の平均変動率とそれ以外の区それぞれの相関係数を算出した結果を示しています。これを見ると、住宅地も商業地も城南エリアと文京区が都心5区と最も相関が強いようです。
今回の地価調査では銀座など一等地の下落が目立ちました。これまで続いていた地価の上昇は既に鈍化傾向にあると言えます。
そして、その鈍化は都心部から徐々に広がっていくようで、今回上昇率が上位だった杉並区や足立区では、まだその鈍化の影響がダイレクトに受けていない状態であると考察できます。
収益不動産ONLINE編集部
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