2019年07月26日(最終更新:2023年06月07日)
2019年7月1日に国税庁より最新の路線価が発表されました。
この路線価は、前回のコラムで説明した相続税を算定するための基準となる重要な指標であり、毎年1月1日時点を基準として算出されています。
今回は「路線価とは何か」「令和元年の都道府県ごとの路線価」、最後には「路線価の調べ方」について見ていきたいと思います。
以前「エリアの地価を考察する【投資の極意_8】」にて紹介したように、土地は「一物四価」と呼ばれており、路線価は相続税・贈与税を計算する上での算定基準となっています。
つまり所有している一棟マンションを相続または贈与することになった場合、この路線価に応じて算出される課税対象に対して相続税が発生します。
この路線価ですが、公示地価の80%程度が目安となっていると言われています。路線価は土地相続における課税対象になる価格ですから、公示地価と同じであっても問題はないような気がします。では、なぜ公示地価の80%という目安が路線価に設けられているのでしょうか。
これは、実際に取引される際、売り手と買い手の事情や情勢に応じて、取引価格が公示価格を大きく下回ってしまう可能性があるためです。
もし、公示価格と路線価を同じ値にしたら、相続税の評価額である路線価が取引価格よりも大きくなり、課税額が過剰になるかもしれません。このように納税者の負担が過剰になってしまうのを防ぐために、路線価は公示価格の80%を目安としているのです。
次に、各都道府県における令和元年分の最高路線価をみていきましょう。昨年から今年への変動を見てみると、大都市圏や観光都市の路線価が大きく上昇しているのに対して、その他の地方圏が伸び悩んでおり、二極化が進んでいることがわかります。
また、東京の最高路線価は2.9%の伸びに留まっていますが、1m2当たり単価4,560万円と突出して高い値を取っており、3年連続で過去最高値を更新しました。
この最高地点は、皆さんご存知の通り、中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前であり、34年連続で全国における路線価第1位を獲得している超一等地です。
相続税の算定基準となる土地評価額は、該当土地に接している道路に付いた価格に、土地の面積を掛け合わせることで求めることができます。実際に評価額を求める方法を見ていきたいと思います。
まず、路線価図の読み方を確認しておきましょう。国税庁のHP(平成31年分財産評価基準)には、最新の路線価図が掲載されています。
次に、土地の評価額は以下の式で求められます。
まずは、奥行価格補正率について説明します。たとえば、道路に1面しか面しておらず、奥行が極端に長かったり短かったりするような土地は活用しにくい土地としてみなされ、評価額が下がります。その評価額の調整をするのが奥行価格補正率です。
全国第1位の路線価を誇る東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前に以下のような奥行・面積を持つ土地が存在すると仮定して、土地評価額の計算シミュレーションをしてみましょう。
鳩居堂前は高度商業地区に分類されるため、以下のような奥行価格補正率が適用されます。
よって、この土地の評価額は以下のように計算できます。
日本一の一等地での土地評価額は75億を超えるということになりました。鳩居堂の土地もこのくらいの面積と奥行になっているため、価格も類似した値をとるのではないでしょうか。
複雑な地形の場合は上記以外の変数を組み込まなければいけませんが、この計算によって土地の評価額のおおよその目安を知ることができます。
相続税対策のためにも路線価を見ることは非常に重要であると言えそうです。皆様もぜひ、自身の所有している物件や購入を検討されている物件の路線価を計算してみてはいかがでしょうか。
収益不動産ONLINE編集部
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